2.エクステンションセンター

【理念と目標】
 本学エクステンションセンターは、開設以来常任理事会のもとで法人事業として位置づけられ、運営委員会を設置して本格的な課外講座プログラムを展開してきた。また設立の基本理念をふまえ、基本的に在学生を対象とし、中心的な課題を司法試験や公認会計士試験および国家公務員T種等の難関分野への学生の進出を支援することにおきながら、同時に学生がそれぞれの進路を切り開くことをめざす資格取得やスキルアップ゚のための講座を展開している。その多くが各分野の専門機関と提携した実践的な教育プログラムである。
  特に、難関分野である司法試験、国家T種(外交官を含む)、外務専門職、公認会計士分野については、1998年1月に、西暦2000年に100名(司法30名、国T30名、外専10名、公認会計士30名)の合格者を輩出していくという「学園創立100周年目標」を設定し、常任理事会の承認を経た上で全学に明らかにされている。



【現状(1999年度、2000年度の到達点)】

 1999年度から2000年度にかけては、100周年目標の達成を最大の課題とした抜本的な視点から諸施策を遂行するとともに、衣笠・BKCの2拠点のもとで各キャンパスの特色を生かした本格的な講座展開を行ってきた。

(1) 講座数では、設立以来8年間で2倍、受講生数で約3倍の規模に拡大した。BKCの受講生数も約6,000名近くとなり衣笠キャンパスとほぼ同数となった。
(2) 難関分野では、司法試験において2000年度で短答式合格者117名(全国11位)と着実に成果をあげたが、最終合格者では13名(全国15位)に留まった。国家公務員T種では、2000年度に最終合格者15名を輩出(全国17位、西日本私大1位)し、過去最高の高い到達点を築いた。外務専門職は2000度で4名(全国3位)、公認会計士では、2000年度で14名など着実な成果をあげてきている。
  これらは、1998年度後半から2000年度にかけて、各分野における講座の枠組みや内容を抜本的に改革・充実してきことや、各キャンパスにおける運営体制の強化、司法試験センターの開設、公認会計士等における正課化、各キャンパスにおける事務室の移転・拡充と受講生の学習環境の整備、低回生への給付奨学金や難関資格合格者等に対する育英奨学金創設など奨学金制度の充実、附属校生を対象とした資格ガイダンスや講座の実施、各難関分野の広報パンフの抜本的刷新など、総合的な取組みの中で前進させてきたものである。
----- <表3 難関分野合格者数推移>-----
年度
司法
国T
外専
公認
会計士
合計
1993
9
3
1
2
15
1994
5
3
2
7
17
1995
11
15
5
6
37
1996
10
10
1
7
28
1997
12
8
8
8
36
1998
6
9
3
12
30
1999
13
7
3
17
40
2000
13
15
4
14
46
(総計)
79
70
27
73
249

【評価】
 最終的な成果という点では、目標の達成に至っておらず、今後さらに大胆な施策の展開が求められよう。しかしながら、1999年度以降各難関分野における1次(2次)試験の合格者数は確実に増加してきていることや、公務員では定数削減状況の中においても学生の健闘が目立っていること、合格者に占めるエクステンションセンター受講生の割合も増加してきていることから、取組みの成果が着実に現れてきていることも明らかである。またこの間の受講生数の飛躍的な増加は、エクステンションセンターとしてより多くの学生に多様な進路選択の機会を提供するとともに、難関試験を突破していく母体の拡大と学園における学ぶ気風の確立という点で大きな意義を有している。事業収支という点からは、社会的水準と比較して相対的に低い受講料を維持しながらも、この8年間で約3倍の収入を確保している。また当初からの目標であった職員人件費を除いた収支均衡を貫いており、学園財政にも一定の貢献を果たしてきている。



【課題と改善方向】
(1)難関分野
 各難関分野においては、着実に母体層を拡大してきているが、より高い水準での実績をつくりだすためにも、動機付けを含めた一層の母体層拡大策と合格率の向上が最重要課題であり、附属校や学部・大学院(教学、ゼミ・指導教員)との連携がいっそう重要となる。キャリアセンターや校友課・OB(組織)との連携、外部専門機関との協力など、多様な角度から受講生を支援する取組みも総合的に進める必要がある。また、難関分野をめざす学習集団の形成をはじめ、「課外教育プログラム」としての一層積極的な展開と「学びと成長」を促すより効果的なプログラムや施策の検討、他方ですでに1万名を超える受講生の学習意欲に応えるための教室施設条件の整備や育英奨学金(能力・資格取得枠)の改善・充実、学生の集中的学習を支援する「学びの体系」づくりなどが重要である。さらに、各分野で一層飛躍的な成果・実績をだすために、新たに2003年〜2004年度までを見通した計画策定と取組みなどの視点も重要となろう。

(2)全学課題と連関させた政策的視点からの取組みの推進
 1998年度白書において提起された「講座の社会開放」の一環として「京都府リカレント講座」、大学コンソーシアム京都のプログラムを通じた他大学学生の募集などに取り組んできた。しかしながら、この間


@新たな大学院政策(入学政策、進路・就職政策を含む)
A法科大学院・法学部教学の展開
Bキャリアセンターとの連携
C附属校との連携
D語学における新たな展開
E入学政策とリンクする課題(事前学習教育プログラムの展開等)
F生涯学習・社会人教育
G単位化を含む正課と課外の総合的取組み
H人件費を含めた運営
などの課題が浮かびあがってきている
 本学として急激に変化しつつある高等教育情勢の中で、「立命館第2世紀」への飛躍をめざす上で、とりわけ「教育の質の高度化」とかかわって、「課外教育」ないしは「エクステンションセンター」に期待される役割や課題も変化・拡大しつつあるといえる。これらについては、センター設立以来、「難関分野」を中心に推進体制と政策を確立してきた経緯をふまえつつも、全学的な整理の上にたって、エクステンションセンターの位置づけ・今後のありようも明確にしながら検討していくことが重要である。またこれらを担う力量をもった事務局の体制についても、業務の高度化、高付加価値化などの観点にたちつつ、アウトソーシングを含めた一層効果的・合理的な体制の検討が重要となる。

(3)他キャンパス、拠点とのエクステンション事業の連携
 2000年4月に立命館アジア太平洋大学が開講し、エクステンション事業も序々に始められようとしている。新大学における進路・就職政策の展開とあわせ有機的な連携や交流が重要となる。また(3)で述べたような課題とも関連付けながら大阪オフィス・東京オフィス等における課外教育プログラムの展開を検討する必要がある。


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