【理念・目標】
1999年度と2000年度の研究活動は、1996年度に策定された第5次長期計画基本要綱の研究指針のもとに推し進められた。
【現状】
この間の研究高度化の大きな特徴は、研究機構、研究所、研究センターにおけるプロジェクト研究と大学院新展開とを連結することで、教育・研究の高度化を同時に達成しようとする方向性が顕在化したことである。理工学研究科のフロンティア理工学専攻と総合理工学研究機構のプロジェクト研究(ハイテク・リサーチ、学術フロンティア等)、応用人間科学研究科と人間科学研究所(2000年に教育科学研究所を改組)の学術フロンティア・プロジェクトなどである。
研究プロジェクトと大学院の教育・研究とを結びつけ、幅広い社会的ネットワークのもとで活動を展開するという方向性は、2000年度に開始され文部科学省のオープン・リサーチセンターでも顕著に表れている。2000年度は、マイクロシステム技術研究センターとアート・リサーチセンター関係の2件の申請を行った。
事務体制については、1999年度の改革で、大学院課が充実し、衣笠研究支援センターと研究所事務室の統合で作業の高度化、円滑化がはかられた。2001年度にはBKC担当研究部長がおかれることも決定している。
【評価】
研究所・大学院の連携については、衣笠では、4研究所と2研究センターとを抱える衣笠総合研究機構に付置する新構想大学院の立ち上げ準備が進んでおり、COEの獲得をもめざすものとして、教育・研究両面の高度化に大いに貢献するものと期待される。
また、今後さらに研究を活性化、高度化していくためには、科学研究費補助金をはじめとする大型の外部資金の導入が不可欠で、そのためには学内の研究シーズを的確に把握し、評価し、重点的に育成していく必要がある。現在の学内研究助成や研究所プロジェクト研究助成、大型基本図書にもそういった側面があるが、現時点では必ずしも好結果を得ているとは言い難い。
外部資金の獲得という面では、リエゾン活動もきわめて重要な位置を占める。本学では、理工系を中心に外部と結んだ研究がきわめて活発に行われるようになり、文・社系においても受託研究が徐々に増加している。今後も、これをさらに伸ばす必要があるが、外部へのつなぎ方に新たな形態が検討されるべき段階に至っている。
【課題と改善方向】
上述の文部科学省オープン・リサーチセンターへの申請母体は各研究科でも可能なため、今後は既設研究科等での検討も望まれるところである。ただ、国の機関からは半額補助の場合が多く、いかにマッチング・ファンドを確保するかが大きな課題となっている。
一方、外部資金と繋がらない基礎的研究をも含めて、研究の重点化を押し進めるためには、評価基準の策定とシステムの整備をしていく必要がある。
研究情報と成果の公表に関しては、WWW上での研究者学術情報データベース公開の入力率を高めるとともに、研究成果の公開の拡大が当面の課題である。また、英文紀要の発行、大学出版局の検討等も課題となろう。
研究条件の改良では、2000年度より教員数に合わせて文学部と理工学部の学外研究員数を調整したが、新学科、新専攻にともなう教員増の結果、産業社会学部と文学部では、教員整備計画をも加味して、一定の修正が必要となる。衣笠での施設問題では、新たに建設された創思館をも含めた、現有諸条件のもとでの整合的で有効な活用が望まれる。
以上の課題追求のため、事務体制上も今後は、研究と深く関連する衣笠・BKCの研究支援センターとリエゾンオフィス、国際教育研究機構、大学院課の密接で円滑な連携が望まれる。
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