1. 1999年度全学協議会における財政・学費政策議論の到達点


1999年度の立命館大学全学協議会では、学費・財政政策をめぐり、「私学危機」の深まりのなかで、「社会的に評価の高い教育研究の内容と水準>学費(水準)」の論理によって相対的低学費政策を今日的に発展させ、この不等号の差を「学費の重み」に応える「教育的付加価値」として捉え、高い水準での「学びと成長」の実現に向けての議論が行われた。
  論議の到達点として、
@2000年度以降4年間の現行学費方式の継続
A育英奨学制度の創設と経済援助制度の拡大
B大学院「新」総合援助制度
C正課・課外を通じた「学びと成長」の施設としてのエポック立命21(BKCセミナーハウス)の建設
D教学とキャンパスの高度化を実現する衣笠キャンパス整備計画
の実施が確認され、実行に移されている。



2. 21世紀初頭の財政政策の基本課題


【現状】
 1999年度末の累積消費収支差額は、113億円の収入超過であった。2000年度は、立命館アジア太平洋大学の開学や立命館大学における大型の学園・教学創造事業を反映して大幅な支出超過となった。なお、2000年度末において、将来の事業資金として学園将来構想推進準備資金200億円、施設設備整備資金引当特定資産(第2号基本金)40億円、第3号基本金(奨学基金等)の34.5億円を保持している。


【評価】
 学園は、つねに社会の変化とその要請に応え、学園・教学創造を連続して展開することによって、新しい教学を定着・発展させ、その過程で次の課題を発見し、教学の拡充・高度化をすすめてきた。こうした長期計画による教学分野の拡大と充実、高度化により社会的・公的な教育研究資金・資源を獲得する仕組みを「教学創造こそ財政政策」として、学園財政の基本とおいている。第5次長期計画の学園財政は、学園・教学創造の連続展開による学園の社会的評価の向上を財政力量に転換させる取り組みを定着・発展させてきたといえる。


【課題と改善方法】
 急速に展開する高等・中等教育情勢における競争的環境の深化、少子化、学力低下の厳しい教育環境、長期不況と「デフレ」経済など、財政を取り巻く環境は格段に厳しくなってきている。基幹収入である学生生徒等納付金、補助金、その他の収入の厳しい見通しと、高い水準での教育研究をすすめる条件整備により、収入は「横這い・または右肩下がり」、支出は「右肩上がり」の傾向となる。全学がこうした危機認識を共通にすることが、財政政策の出発点となる。
  収入政策においては、教学の新展開と切り結びながら、学園規模政策の前進と学費額の確保、公的な大型研究助成の獲得、産官学地連携の新段階を画す政策、新寄付政策、金融収支の改善に向けた資金(資産)運用政策、教育・研究コンテンツの事業化等の課題があげられる。
 支出政策においては、大学院新展開など今後予定される教学展開による大規模な支出を賄うために、予算のいっそうの重点的・効率的配分、事業のスクラップ・アンド・ビルド、物件費・建設事業費の見直しと費用対効果分析による経費削減、人件費統制政策、予算編成におけるインセンティブ・システムの導入等の課題があげられる。  また、立命館大学、立命館アジア太平洋大学、立命館中学校・高等学校、立命館宇治高等学校、立命館慶祥中学校・高等学校のすべての部門が「財政的自立」目標の達成に向けて、「学園・教学創造」、「学校づくり・教育づくり」の計画を実行していく必要がある。


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