オムロン京都太陽株式会社は、オムロン株式会社(本社京都市)と社会福祉法人太陽の家(本部大分県別府市)の共同出資で設立された会社です。障がい者の方々が一人ひとりの能力を最大限に発揮できるよう補助具・治具・半自動機を整備し、高品質・高生産性・在庫極小化を目指して日々業務を遂行されています。
今回は、「障がいがあっても、一人ひとりの能力を生かしてイキイキと働けるよう、自動化技術で補うものづくり」に対する姿勢と実践について学んできました。
現地までは、京都の近鉄線竹田駅から市バスに揺られること 約10分…
工場を見学させていただく前に、ご担当の方より、オムロン京都太陽株式会社の設立当時のお話や収益につなげる工夫についてお聞きしました。
留学生(中国)のために
中国語と日本語のウェルカムボードで迎えてくれました 熱心に耳を傾ける学生の皆さん
「創立は1972年、身体障がい者の社会復帰のため、太陽の家創設者の医師中村裕氏が、仕事集めに奔走されていた時、オムロン株式会社の創業者立石一真氏に出会ったことから始まりました。中村医師の熱意を前に、熟考した立石氏は、仕事の提供ではなく、事業経営として、お互いが責任を引き受ける覚悟で臨むという回答をだし、両法人共同出資の会社(オムロン太陽株式会社)設立に至ります。(日本で初めての福祉工場)。 両者を突き動かしたものは、中村裕医師の、障がい者がイキイキと生活を送るのに必要なことは保護よりも就労の機会という信念と、立石氏の経営者としての社会的責任の自覚と実践というパイオニア精神。設立初年度に黒字をたたきだし、その実績が、大企業の経営者に強いインパクトを与え、民間企業の障がい者雇用という希望を切り拓いていきます。そして、1985年に、主にソケットや電子機器などを製造し、ほか1500種の多品種少量の製品を生産する、京都オムロン太陽電機株式会社(現オムロン京都太陽)が設立されました。」
従業員の約6割が障がい者 工場と生活施設は同じ敷地内にあり、通勤が困難な人のために宿舎もあるそうです
オムロン京都太陽株式会社では、「誰もが”イキイキと働き続けられる“現場を作る」姿勢で、業務に人を合わせる一般的な企業の考え方に対し、人に業務を合わせる手法を取り入れているそうです。と同時に、能力開発や業務改善を、より丁寧にすすめ、全体で生産性をあげる努力を行っているそうです。これまでに培われてきた工夫・改善の一例をご紹介いただきました。
工場内の様子をご説明いただいた
健常者が障がい者をサポートするのではなく、障がいに応じて、設備を整え、健常者と障がい者がともに工夫して業務にあたっているそうです。障がい者は、健常者なら無意識にできる作業が、簡単にはできない。逆転の発想で、健常者であれば見過ごされるような手順が、障がい者によって明らかになり、結果的に業務全体の効率化につながっているとのこと。
従業員をサポートする補助器具の工作室 作業状況が一目で分かるモニター
『置けない君』と斜めに色のラインが入ったファイルの背表紙 カラフルなラインで配送ルートを見える化
参加した学生は、様々な工夫により収益をだしていることや、補助機器や人員配置のアイデアで人に合わせてカスタマイズしている生産工程に関心をよせていました。 約2時間にわたり、障がい者雇用の状況や生産現場での様々な取り組みについて、大変わかりやすくご説明いただきました。
今回は、貴重な機会をいただき、ありがとうございました。
ご案内してくれたご担当者さまと、田中先生、学生の皆さんで写真撮影♪ 2023年2月1日