立命館のビジネスコンテスト受賞者たちが「IMPACT MAKERS DAY」に登壇

 立命館では、ビジネスを通じて社会課題を解決する人材(=IMPACT MAKER)の育成に力を入れています。2022年12月17日に大阪いばらきキャンパスにて開催された「IMPACT MAKERS DAY」では、立命館が主催するビジネスコンテストに参加した大学生・院生が、受賞後のビジネス展開について発表する「学生ピッチ・セッション」が行われました。若きIMPACT MAKERSのパワーに来場者たちからの熱い眼差しが注がれた、イベントの様子をレポートします。

  • 柳 陽菜(右)
    株式会社 FoodFul 代表取締役
    立命館大学食マネジメント学部3年(休学中)
    第18回立命館大学学生ベンチャーコンテストにて2021最優秀賞受賞
  • 田畑 春樹(中央右)
    株式会社 STEAH 代表取締役
    立命館アジア太平洋大学国際経営学部4年
    2021年度総長PITCH THE FINALにてSony Startup Acceleration Program賞受賞
  • 井上 峻之介(中央)
    筑波大学情報理工学位プログラム修士2年
    第19回立命館大学学生ベンチャーコンテストにて2022最優秀賞受賞
  • 川端 航平(中央左)
    LINK CAREER代表
    立命館大学経営学部4年
    2020年度総長PITCH THE FINALにて総長賞・オーディエンス賞受賞
  • 石田 桜(MC/左)
    立命館アジア太平洋大学卒
    2019年度総長PITCH THE FINALにてSony Startup Acceleration Program賞受賞

離乳食のオンライン相談サイトを運営。子育てママ・パパの不安に寄り添う

 会場に設けられた階段状の舞台に登壇した4名のIMPACT MAKERS。自身もビジネスコンテスト経験者であるMCの和やかなトークが会場を温めたのち、登壇者4名のピッチ(短いプレゼンテーション)が始まりました。

 トップバッターは柳陽菜さんです。2021年に学生ベンチャーコンテスト最優秀賞を受賞したのち、2022年3月に、株式会社 FoodFulを起業。「暮らしの“食”に無限大のワクワクを」を理念に、食育事業に取り組んでいます。

 柳さんはコンテストで受賞したビジネスプラン「ママとパパのための食育支援アプリの開発」をさらにブラッシュアップし、2022年5月に離乳食の悩み・不安を無料で解決できるオンライン相談サービス「childish(チルディッシュ)」を開始しました。2022年12月現在、13名の管理栄養士・保育士などがアドバイザーとして活動しており、416名の利用者が登録するサービスに成長しています。

 「『食』は、生きていく上で誰にとっても必要不可欠なだけでなく、周りの人を想いやり寄り添いつながるためのとても身近な手段でもあります。それを誰もが当たり前に実感し、持続していく社会の実現に向けて活動しています」と、柔らかな笑顔と声で語りました。

柳陽菜さん
柳陽菜さん

バングラディッシュを拠点に、ソフトウェア開発で社会課題の解決をめざす

 続いて登壇した田畑春樹さんは、大学で出会ったバングラデシュからの留学生との出会いをきっかけに、2022年2月「株式会社 STEAH」を起業。IT業界の発展が著しいバングラデシュに開発拠点を置き、ソフトウェアの企画・開発からリリース後の運用・保守までを主力事業として取り組んでいます。さらに自社サービスとして「Goodbot」というWEBサービスを開発中です。

 「Goodbot」は、オリジナルのクリック募金システム(ユーザーが特定のバナーをクリックした数に応じて、スポンサーが代わりに活動団体に募金を行う仕組み)を簡単にサイトへ導入できるサービスです。田畑さんは2021年度の総長PITCHで受賞した「世の中の幸せの総量を増やすことを目的としたアプリ開発」というビジネスアイデアをミニマム化させることで、このアプリの着想を得ました。

 「社会課題に関心があると答える若者が増えているにも関わらず、実際に行動を起こせている人が少ないという現状に、僕は課題を感じています。10年後には、社会課題に関心を持ったその瞬間から行動できる社会を実現させたいです」と落ち着いた口調で語りました。

田畑春樹さん
田畑春樹さん

6,000万円の資金調達を経て就活サービスをスタート

 3番目に登壇した川端航平さんは、学生向けの就活サービス「ABABA」のビジネスアイデアで2020年度総長PITCHに参加し、総長賞とオーディエンス賞を受賞。その後、資金調達なども経て現在は就活生が1万人以上の学生が登録するダイレクトリクルーティングサービスへと同ビジネスを成長させました。

 起業家となった川端さんですが、今後の進路については「人脈やスキル・視野を広げた上で、もう一度起業にチャレンジするか否かを考えたい」と、就職する道を選択しました。そして、自身が就職活動をするなかで、就職活動が複雑化していることを実感し、「正しい時期に正しい方法で努力しないと、めざす成果が得られない」と「LINK CAREER」という就活支援団体を新たに立ち上げました。

 「LINK CAREER」は関西の学生に特化した就職支援団体で、さまざまなジャンルの最難関企業に内定した学生メンターから就活ノウハウを学ぶ機会を提供。現在40名規模のコミュニティに発展し、さまざまな活動を行なっています。

 「僕自身は新卒で就職する道を選びましたが、学生のうちに起業した経験は決して無駄になっていません。起業や学生団体立ち上げなど多くの課外活動での経験から醸成されたキャリア形成への考え方などが納得感のある入社企業選びに繋がったと感じています」と熱く展望を語りました。

川端航平さん
川端航平さん

AIとVRを活用した発達障害児支援で起業をめざす

 最後に登壇したのは、1ヶ月前に開催された立命館大学学生ベンチャーコンテストで最優秀賞を受賞した井上峻之介さんです。「僕はAIについて6年間勉強してきたのですが、教育にも興味があり不登校支援団体の世話人もしています」という自己紹介から、井上さんのピッチははじまりました。

 現在、井上さんは、ベンチャーコンテストで受賞した発達障害児向けの支援教室というビジネスアイデアを実現するために、VRなどを専門に学んでいる仲間と起業に向けて準備中とのこと。「この支援教室では、学校や日常生活でつまずきを感じている小中学生たちの特性を、知能検査や保護者からのアンケートをもとに調べ、その内容をもとに一人ひとりに最適な支援を提供することを目指しています。たとえば、視覚からの認知特性が高い子であれば、VRを活用した没入感のある勉強支援を提案するなどです。発達障害をもつ子供が自分の得意を生かすことで、よりよく学べるようにしていきたいです」

 誰もが自分の個性にあった学びができれば、もっと溌剌とした良い社会になるはずだと、井上さんは考えます。そのためにまずは発達障害を持つ子どもが多様な学び方をできる社会を創りたいと、来場者に想いを伝えました。

井上峻之介さん
井上峻之介さん

未来のIMPACT MAKERSへのアドバイス

 ピッチ後に行われたセッションでは、来場した高校生から「起業したいならやっておくと良いことがあれば教えてください」という質問が投げかけられました。

 登壇者4名からはさまざまなアドバイスが述べられましたが、共通していたのはいろんな場所やイベントに顔を出し、経験や人脈を広げることです。「動機はなんであれ得られる経験値は変わらない。社会人になると人間関係のしがらみが邪魔するが、学生のうちは大人たちが協力してくれる」(川端さん)、「1年生の時から人脈をいかに増やすかが大事。また本心で話せる友達をつくると成長できる。自分はそうしてできた大学の仲間と起業した」(田畑さん)など、自身の体験を交えたメッセージが来場者に送られました。また井上さんからは、「僕は来年就職した上で、3ヵ年計画で起業を実現させます」と、働き方への柔軟な姿勢が示されました。

 印象に残ったのが、「自分の気持ちに嘘をつかないこと」という柳さんのアドバイスです。「ビジネスを進める上で、周りからの意見や情報に惑わされるときがある。でもそこで常に自分の原点に戻り、ブレずに信じ続ける道を選ぶことが大事。そうすることで結果として周りが応援してくれる」という言葉は、多くの来場者の胸を打ったように感じました。

 学生でありながら社会課題に関心を持ち、社会を変えようと活動する4人の姿は、まさにIMPACT MAKERを体現していました。立命館では今後も、ビジネスを通じてより良い社会の実現をめざす方々を応援する取り組みを推進していきます。

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