Interview 06

弱い立場の人に寄り添い、心の支えとなる弁護士になりたい。

Interview 06

弱い立場の人に寄り添い、
心の支えとなる弁護士になりたい。

司法修習生 伊藤 由香さん (2010年卒業) 2022.02.25

Introduction

立命館小学校1期生。立命館大学法学部卒業。司法試験合格後、2021年11月より司法修習生として研修を受ける。1年の研修を経て、京都の弁護士事務所に入所予定。趣味はプロ野球観戦とショッピング、カフェ巡り、特技は珠算。座右の銘は「自分に勝つ」。

Growth Trajectory

高校の授業を機に志した、
弁護士の道。

小学校の頃から間違ったことや理不尽なことを黙って見過ごせない性格でした。クラスを引っ張るリーダーとして、トラブルが起これば皆の意見を聞くなどして解決することも多かったように思います。
そんな私でしたが、高校の授業で法律に関するドラマを視聴したのがきっかけで、多数の意見が必ずしも正しいとは言えないと考えるようになりました。何かを決定する際、多数派の意見を採用することは民主主義の原則ですが、少数意見が正しいこともあるはずです。その後、司法について学習する中で、裁判はそうした少数の意見をすくい上げて真実を追求する場だと知りました。適した法律を使用することで、交通事故などの被害者を救済できるという事実に感銘を受けた覚えもあります。「法律の世界なら、自身の正義感の強さを生かせるはずだ」と直感を得た私は、弁護士として法律を武器に、悩んでいる人を助けたいと思うようになりました。
また、法律学の面白さにも惹きつけられました。何事も納得いくまで突き詰めて考えないと気が済まない性格なので、性に合っていたのでしょう。法の本質を理解し、論理立て考え、説明する力を必要とするため、持てる知識をあらゆる場面で総動員して臨まねばならなりません。本当の意味で考える力を求められる学問だと思い、興味は深まるばかりでした。大学でさらに踏み込んだことを専門的に学びたいと、立命館大学法学部を志望しました。

ゼミ仲間との出会いで気づいた、
法律を学ぶ楽しさ。

大学では、法律について幅広く学びました。2年生からは司法試験予備校に通い、弁護士になるべく本格的に勉強を開始しました。出題範囲は膨大で、予想以上に勉強は大変です。何故このような裁判結果になるのかといった過程的な質問や、答えのない論文式の設問もあり、腹の底から法律を理解しなくてはなりません。必要な勉強量があまりにも多く、挫けそうなったことも何度かありました。そんな時、支えになったのは同じ目標を持つゼミ仲間の存在です。彼らは学ぶことを決して苦とせず、楽しみながら説明し合ったり、学説を教え合ったりしていました。そんな光景を目の当たりにし、楽しく勉強することも大切だと気づかされました。
時には、仲間たちとディスカッションで激しくぶつかり合うこともありました。司法試験では真実までどのようにアプローチするかが問われますが、考える筋道は人によって異なります。そのため、自分と異なる考え方を聞くと刺激になりました。また、このように仲間とディスカッションを重ねた経験は、自分の意志を貫く強さを持ち、次々と言葉を繰り出す訓練にもなりました。裁判では論理的な思考を持って臨機応変に言葉を応酬する力が必要とされますから、いつか弁護士として働く際の予行演習にもなったと感じます。
司法試験の直前は、1日12時間以上机に向かいました。最後まで気を抜かず納得いくまで勉強していたので、自信をもって試験に臨みました。晴れて合格した時には、喜びよりも、ようやくスタートラインに立てたという安堵の気持ちが強かったように思います。

思い描く弁護士になるため、
決して努力を怠らない。

現在は司法修習生として研修を受け、裁判官や検察官、弁護士の業務をそれぞれ経験しています。一つの事件に対して、自分が裁判官ならどう判決を下すのか、検察官の立場ならどう起訴すべきか、弁護士であればどう判断するのかを考え、答えを導き出します。法曹として裁判に関わるということは、自分の言葉によって一人の人間の人生を変えてしまう可能性をもつということです。その事実に恐怖を禁じ得ませんが、そうした怖さは経験を積むことにより乗り越えていくものでしょう。今の自分ができる努力を着実に積み重ねていきたいと思います。
弁護士として本格的に働くようになったら、家族法を専門にしたいと考えています。家族法とは、夫婦や親子間の問題を規律する法規全体のことを指します。離婚によって片親になることが子どもに与える影響や、保護、福祉の問題などを学ぶうちに、率先して取り組むべきだと考えるようになりました。私がずっと目標にしている「少数派、弱い立場の人を救う」ことにも強く結びつくでしょう。
私には目指すべき弁護士像があります。それは相談しやすい弁護士になること。私見ですが、弁護士にはカウンセラー的な要素も必要だと思います。弁護士×カウンセリングといった分野は現在確立されていませんが、ただ話を聞くだけはなく、依頼人の気持ちを汲み取り対等の立場で相互理解しながらコミュニケーションを取れるように努めたいと思います。
子どもの頃から持ち続けている、一人でも多くの人を助けたいという気持ちは少しも変わりませんし、誰よりも強いと自負しています。これからも、正義を守る弁護士の道を突き進んでいきたいです。

Column

繊細な日本語感覚が身についた国語の授業。

法律という学問は日本語の使い方をとても重視します。裁判では言葉遣いが裁判官の印象を左右すると言っても過言ではありません。日本語感覚の鋭さは、弁護士にとって命綱といえるでしょう。私がその感覚を養ったと感じるのは、立命館小学校の国語の授業です。日記を書き、先生にコメントをいただいて再度推敲するといった繰り返しにより、文章力が養われていきました。敬体(です・ます調)と常体(だ・である調)の使い分けや比喩の使い方など、文章の技法も数多く学びました。小学生の段階から質の高い文章教育を受けたことにより、書くことに対する抵抗がなくなりましたし、司法試験の論文も、適切な言葉を用いて執筆できたのではないかと思います。

Goal

依頼人の支えとなるために。

依頼される方の中には、人生をかけて相談しに来られる方もいます。人生の一大事をしっかりと受け止め、依頼人にとってプラスの結果をもたらす弁護士でありたいと思います。そのためには法律という学問をさらに掘り下げ、学び続けていくことが欠かせません。この人に相談したいと思ってもらえる弁護士になるため、妥協することなく努力をし続けます。

Message

入学希望者へのメッセージ

人にはそれぞれ個性があり、自分に合った学問を探求できるのはとても素敵なことです。立命館小学校は多様な学問にチャレンジする機会がたくさんあり、未知の分野に出会う可能性がとても広がる学校です。ぜひ様々なことにチャレンジし、楽しいと思える学問に出会い個性を伸ばしてください。

※プロフィールや内容は掲載当時のものです