所長室から

今年もよろしくお願い申し上げます

 明けましておめでとうございます。本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 2021年は、皆さまから温かい応援とご支援を、たくさんいただきました。おかげで、本研究所もコロナ状況の中にありながらも、さまざまな工夫をして充実した活動を展開することができました。厚く御礼申し上げます。

 昨年をふりかえると、たくさんのことがありました。何よりも、本学全体が研究高度化の第4期に入ったことが1つの画期と言えます。本学のR2030チャレンジデザインでは、次世代研究大学をめざしてさまざまな方針と戦略が立てられていますが、第4期の研究高度化ではそれを着実に現実化していきたいと思います。

 昨年の研究所の活動の中で特筆すべきは、2月に「アジア・日本研究5周年記念国際シンポジウム」を開催したことかと思います。これは「立命館大学におけるアジア・日本研究の満5周年」、つまり、2015年12月に立命館アジア・日本研究機構、アジア・日本研究所を創設してからの5年間をふりかえりつつ、今後の5年10年を眺望する機会となりました。組織の満5周年というだけではなく、「アジア・日本研究」という研究領域であり、立命館ブランドの研究が成長をしてきたことを、実感することができました。今年からは、これを継承して、毎年2月に、年次国際シンポジウムを開催します。

 学術誌の刊行という面では、本研究所は2019~2020年に英文2誌、和文1誌を創刊し、世界中でアジア・日本研究にたずさわっている皆さまの研究成果の公開の場、また進行中の研究プロジェクトについてお知らせいただく場を生み出すことができました。3誌とも、研究論文(および研究ノート)については、厳密なダブルブラインドの査読体制によって、しっかりとした内容保証ができる仕組みを確立しました。昨年度でJ-STAGEでの登録が3誌とも完了し、すばやく科学の発展に寄与できる形になってきたことも、編集にたずさわる身として嬉しい限りです。

 皆さまの引き続きのご声援をお願いするとともに、ご投稿をお待ちしております。3誌の刊行パターンや特徴に応じて、それぞれを、是非ご活用ください。

 さらに昨年は、英文が主ではありますが、アジア諸語(もちろん日本語も含めて)での刊行も視野に、AJI Booksを創刊しました。昨年のうちに4冊を刊行することができました(昨年度は4冊とも英文です)。これは、研究所での研究プロジェクトや研究集会をベースとして、可能な限り研究の最先端を紹介することをめざしています。

 コロナ禍の状況でもたゆまず社会貢献を続ける本学の姿勢を示す企画として、学内で「Postコロナ社会 提案公募研究プログラム-Visionaries for the New Normal-」が公募されました。本研究所もこれに応募して、「アジアにおけるパンデミック対応の多様性:Postコロナ時代の社会観・倫理観の比較研究」プロジェクトが採択されました(昨年9月)。このプロジェクトを今、鋭意推進しているところです。今後の成果発信にご期待ください。

 若手研究者育成でも、昨年は大きな動きがありました。まず、4月には「大学院連携・次世代研究者育成プログラム」がスタートしました。これは、本学の大学院でアジア・日本研究の分野(およびその関連分野)で学位を取得した研究者の皆さまに、常勤の研究・教育職をめざして研究力にいっそうの磨きをかけていただくプログラムです。昨年は、専門研究員として2人がこのプログラムで入所し、活発に研究および成果発信の活動をおこなっています。

 若手研究者の育成では、本学全体が、大学院博士課程の院生を対象とする「NEXTフェローシップ・プログラム」を昨年、スタートさせました。本研究所も育成拠点として名乗りをあげ、このプログラムに参加しています。研究所にとっては、大学院生の育成はこれまでアジア・日本研究推進プログラムを経由しておこなってきましたが、このように大学院に直接的に関与するのは、新しいことです。これによって、大学院⇒次世代研究者育成(学位取得した若手の育成)⇒プロの研究者としての成長、というシームレスな(切れ目のない)キャリアアップの道を、しっかりと根付かせていきたいと思います。

 次に、今年の抱負と予定を申し上げます。

 まず、本研究所は、グローバルな視野から多言語で専門家(研究者、実務者ほか)が意見交換し、国際的に先端的な知見と政策提言をおこなっていくフォーラムであるMeridian180の日本事務局を務めています。その活動の一環として、討論の場である「フォーラム」を1つ、毎年主宰しています。

 昨年は、それ以前の「スマート&シュリンキング・シティー」「老年学と社会テクノロジー」に続いて、「食と農:パンデミックを超えて」のフォーラムと国際シンポジウムを開催し、大変好評を博しました。

 今年は、最初のテーマであった「スマート&シュリンキング・シティー」の成果をとりまとめて、Meridian180の本部があるノースウェスタン大学バフェット研究所、同大図書館との協力のもとに、英文のe-bookを刊行する予定です。どうぞ、ご期待ください。

 また、フォーラムにおける討論としては、「東アジアにおけるパンデミック下のジェンダー変容」をテーマに、日本語・中国語・韓国語・英語の多言語ワークショップを1~2月に開催することを企画しています。Meridian180は、真のグローバル時代のための多言語主義を標榜していますが、その実践例として、私たちもおおいに期待をしています。

 アジア・日本研究推進プログラムも、4月からスタートする3つのプロジェクトが採択されています。3つのキャンパスで各プロジェクトの開始に向けて、現在、鋭意準備を進めています。

 学術3誌、AJI Booksの刊行も、しっかりと注力して続けていきます。国際研究集会も、すでに準備が進んでいるものがいくつもあります。

 そのほかにも、本学と本研究所のグローバル化を推進するさまざまな活動を企画中です。内容が固まり次第、順次、お知らせしていきたいと思います。

 このホームページそのものも、大規模のバージョンアップを企画しています。

 本年も、どうぞご支援・ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

アジア・日本研究所所長 小杉 泰
(2022.1.1記)