With コロナ社会 提案公募研究プログラム
- Visionaries for the New Normal -
採択課題決定

Visionaries for the New Normal

立命館大学は、新型コロナウイルス感染症に関する調査研究からWithコロナ社会形成に向けた様々な基礎研究や応用研究を支援する「Withコロナ社会 提案公募研究プログラム-Visionaries for the New Normal-」を始動し、学内研究者から合計81件もの幅広い研究提案が集まりました。この度、審査を経て以下の通り21件の採択課題を決定いたしました。

すでに世界では、新型コロナウイルスを契機とした働き方、バリューチェーン、テクノロジー等が勢いよく変化し、製薬・ライフサイエンス系企業等では、治療薬・ワクチンの研究開発を加速させています。その一方で、感染者に対する差別や偏見、また感染症対策に関する科学コミュニケーションやガバナンスのありかたが問題になっています。そうした中、本大学では、新型コロナウイルス感染拡大後の社会(Withコロナ社会)を見据え、16学部・20研究科を擁する総合大学としての研究者の多様性、強みをいかし、幅広い知を結集し新たな研究課題に取り組みます。

本プログラムから生まれた研究成果については、HPや大学広報誌への掲載、学内シンポジウム等の開催等、積極的に公開の上、社会に還元していく予定です。

採択一覧

各採択課題の詳細内容については、当該ページにて随時情報を掲載していく予定です

学 際

COVID-19が空調利用に与えた影響の可視化とWithコロナ社会におけるエネルギー戦略

business理工学部 教授 perm_identity山末 英嗣

新型コロナウイルス感染症により、直接的には健康への影響が懸念されるが、間接的にはエネルギーコストの変化が無視できないと予想される。本研究では、民生・産業部門の空調利用状況に関わるビッグデータを解析することで、コロナ社会におけるエネルギー消費動向変化の一側面を可視化する。本研究の遂行により将来のSustainable Cooling社会に向けた空調、ひいてはエネルギー戦略のあり方を提言できると期待される。

非可聴つぶやき音声による飛沫拡散防止型オンライン会議環境の構築支援

business情報理工学部 教授 perm_identity西浦 敬信

飛沫拡散の少ない非可聴つぶやき声を検出可能な皮膚密着型マイクロホンを開発し、AI技術を使って明瞭性の高い通常声に復元することで、飛沫と騒音の拡散防止を両立可能な新しい生活様式に適したオンライン会議環境構築を支援する。また、将来的には健常者だけでなく声帯発声が困難な方の声の復元にも貢献できればと願う。

Withコロナ社会での持続可能なケア

business先端総合学術研究科 教授 perm_identity美馬 達哉

全身脱力が重度の難病者(筋萎縮性側索硬化症ALS)の地域生活では、人工呼吸器だけでなく24時間の介護を必要とするため、コロナ禍のなかで、本人、家族、介護者が高いリスクとストレスに曝されている。本研究計画では、日本とスペイン、フランスでのアンケート調査によって、難病当事者らの生き延びる工夫と智恵を言語化して学問的に理解することで、Withコロナ社会での持続可能なケアの条件を探究する。

テレワーク・WEB講義におけるチーム協働力を高めるオンライントレーニングの開発

businessテクノロジー・マネジメント研究科 教授 perm_identity湊 宣明

本研究は、テレワークやオンライン講義などで増加する遠隔でのチーム作業に備え、ソフトスキルの側面からwithコロナ時代『更にコロナ後も見据え』、新しい働き方・学び方に貢献する。『宇宙と地球という』究極の遠隔環境で『チームワークを発揮する』宇宙飛行士とそれを支援する運用管制官のスキルに着目し、実際の『宇宙飛行士訓練』を応用・『発展』させ、一般社会人や大学生を対象としたチーム共同作業能力を高めるための『新たなるオンライン訓練プログラム』を『宇宙機関との連携』により開発する。

システムダイナミクスモデリングによるCOVID-19アウトブレイクに対する社会的対策の有効性について

businessテクノロジー・マネジメント研究科 准教授 perm_identity児玉 耕太

システム・ダイナミクス・モデル*1と呼ばれる概念を応用し、感染者が発症を経て検査に至る過程をモデル化することにより、発症率から無症状感染者の影響を加味し、刻々と変化しうる感染伝播率や国や地方自治体による外出自粛等の対策の効果を含む感染の全体像を把握すること目的に研究を行う。
*1 システム・ダイナミクス・モデル:社会システムをモデル化し、数値シミュレーションによって関心のある事象の特徴把握や将来予測を行う技法。

自然科学

高画質・高精細画像をリアルタイムで簡便に伝送可能な短距離超高速無線通信の実現

business理工学部 教授 perm_identity瀧口 浩一

コロナ禍の中、少人数で実施される実験、治療を、対面、接触を避け、遠隔からリアルタイムで精緻にサポートできる環境の構築は、安全安心のため重要である。そのため、場所を選ばずに高品質画像を伝送可能な、短距離用超高速無線通信の実現に向けた研究を行う。6G以降の無線通信用として期待されるテラヘルツ波を活用し、光通信並の10 Gbit/sを超える簡易型無線通信の実現を目指す。将来的には、バーチャル・リアリティを実現可能な高速化(100 Gbit/sクラス)を目指す。

在宅ワークにおける完全非接触なストレス・健康モニタリング手法の開発

business理工学部 准教授 perm_identity岡田 志麻

With/Postコロナでは、サイバー空間を介した仕事、学習の比率が急激に高まり、このような状況は心的な負担へつながる。 本研究では、在宅での仕事や学習中のストレス、健康状態について、webを介して撮影される顔画像のみから自律神経活動を用いて評価する。 これにより、サイバー空間での仕事、学習中のストレスの度合いを、使用者に計測による負担をかけることなく評価ができる。

群衆解析技術の開発とデバイス化 ~withコロナ時代に向けて~

business情報理工学部 教授 perm_identity加藤 ジェーン

交通機関、店舗、役所の窓口など、人々が集まりやすい場所の混雑具合に関する情報を、ウェブ等を利用して実時間に提供し、混雑回避に努めることが、withコロナ時代の切実なニーズとなっている。本研究では、個人情報(顔等)を特定できない低解像度の監視カメラ画像をもとに、群衆の属性(人数や密度)と個人の属性(年齢層、性別、職業)を実時間に推定する技術を開発する。

Withコロナ社会における新たな大学教育のかたち:遠隔教育における大学生の心理状態を実態把握する大規模アンケート調査と脳科学研究を統合した探索的研究

businessスポーツ健康科学部 教授 perm_identity伊坂 忠夫

本研究は、新型コロナウイルス禍で導入が急激に進んだ遠隔教育が大学生の心理状態へ及ぼす影響を生活・環境要因やパーソナリティ特性に関連づけて実態把握する大規模アンケート調査と、この結果を脳科学研究から解明する体系的な研究を行い、Withコロナ社会で推進されるSociety 5.0時代の充実した学びを実現する新たな大学教育のかたちを提案する。

高齢者に対する遠隔での運動指導:身体組成と免疫機能への効果

businessスポーツ健康科学部 教授 perm_identity藤田 聡

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、自宅待機による活動量の低下は世界共通の社会問題となっている。本研究では高齢者を対象として、遠隔かつ双方向でのコミュニケーションを介した運動指導を実施し、介入前後における身体的な改善効果について検討することで、Withコロナ社会における新たな生活様式での新しい運動習慣の効果とその獲得方法について検討することを目的としている。

人文社会科学

COVID-19対策における専門知と政治的決定がもたらす人の認識と行動の変容

business法学部 准教授 perm_identity柳 至

この研究は、政府によるCOVID-19対策に関する政治的決定に対して、人々がどのような場合に正しい決定と認識し、自らの行動を変容させようとするかを明らかにするものである。政府の対策が結果として望ましい成果をもたらすかどうかは、対策の内容だけではなく、人々がその対策をどのように認識し、自らの行動を変容させるかという点にもかかっている。本研究では、オンライン・サーベイを行い、人々が対策を受容する要因を厳密に測定する。

新型コロナなどの災害が地域経済に及ぼす影響

business経済学部 教授 perm_identity橋本 貴彦

よりレジリエントな医療提供体制に向けて―新型コロナ感染症対策の医療システム・政策研究

business産業社会学部 教授 perm_identity松田 亮三

新型コロナウイルス感染症の流行では、治療の必要な患者に対する医療資源が枯渇する事態(いわゆる「医療崩壊」)が発生する間際となった。本研究では、このような事態をいかに回避し、急激な感染者数の拡大に対応するかを、医療システム・レジリエンスの問題としてとらえ検討する。公私混合体制を特徴とする日本の医療制度における対応を分析し、with コロナ社会における医療レジリエンスを強めるための方策を提唱することを展望する。

COVID-19以後のツーリズム・モビリティの課題と可能性

business文学部 教授 perm_identity遠藤 英樹

本研究では、「ウィズ=アフターCOVID-19の観光」をテーマに、現在の観光にはどのような課題があり、どのように変容していくべきなのかを考察する。具体的には(1)観光産業の動向に関する調査研究、(2)デジタルテクノロジーとの融合のあり方に関する調査研究、(3)地域を持続可能なものとするための観光に関する調査研究を実施し、最終的に新たな観光の発信源として、立命館大学を世界的な観光研究の拠点としていく。

在住外国人支援と市民性教育を目的とした多文化共生E-サービス・ラーニングモデルの開発

business文学部 教授 perm_identity北出 慶子

本プロジェクトは、コロナ禍で孤立しがちな地域の外国人、留学生、留学や異文化交流機会を失った学生たちをオンラインで繋ぎ、多文化社会に貢献できる地球市民育成のための学びの場創りを提案する。「ネイティブとの会話」を目的とするのではなく、参加者の互恵性、対等性、社会正義に配慮したサービス・ラーニングの枠組みや複数言語の効果的な使用を促すトランス・ランゲージング実践から学び合いモデルを設計し検証していく。

with/withoutコロナ社会と国境開放・国境閉鎖

business政策科学部 教授 perm_identity宮脇 昇

海上国境しかない日本では、水際政策という言葉が魔法のように使われる。しかし日本の水際は、難民には厳しい一方で、COVID-19の拡散には対照的であった。島国と比べ、陸上国境しかない内陸国にとって、国境の開閉は重みがある。コロナ対策を軽視し続けた欧州の内陸国と、迅速に全国境を閉鎖し夏時点で市中感染者が皆無であるモンゴルを比較分析し、その結果をふまえ日本の国境政策の選択範囲と針路を示し提言する。

BYODを前提とした大学教育デザインの研究 -立命館モデルの構築と提言―

business生命科学部 准教授 perm_identity木村 修平

本プロジェクトの目的は、学生や教員が個人で所有する情報端末を大学に持ち込む、いわゆるBYOD(Bring Your Own Device)環境における教育ICT活用のモデルを探究することである。コロナ禍を奇貨とし、学園ビジョンR2030に掲げられている「テクノロジーを活かした教育・研究の進化」を実現するために何が必要なのかを立命館モデルとして提言する。

日本と中国における子育て世帯への支援体制の充実:新型コロナウイルス感染拡大前からの経時的調査

business総合心理学部 教授 perm_identity矢藤 優子

本研究では、日本と中国において乳幼児期の子どもを持つ家庭のコロナ感染拡大前後の生活状況,母親の身体的・精神的健康度,コロナ関連情報に対する態度,生活の質の変化等について継続的に調査し,子育て世帯における実態とニーズを把握するとともに,日中の社会文化的要因、各家庭の社会経済的状況やソーシャル・サポート、親子のパーソナリティなど個人内・外の諸要因との関連について解明する。

災害弱者とCOVID-19から構想する新たな共創社会

business先端総合学術研究科 教授 perm_identity立岩 真也

本研究は日本のCOVID-19にともなう医療資源分配などの問題を、「災害弱者」に着目しながら、情報の正確な伝達および感染症の歴史に関するアーカイブ研究を通して検証する。
具体的に(1)現在と過去のデータのアーカイブ化、(2)COVID-19にともなう倫理的課題の検証、(3)IT時代の情報保障の社会実装に取り組む。研究の経過報告や成果を、東アジアを中心に国際発信し、国際的研究交流を行い、国内外の研究のプラットフォームの形成を目指す。

COVID-19を原因とした差別事例のアーカイビングとインタビュー・質問紙調査
―歴史的比較による考察と共に―

business先端総合学術研究科 講師 perm_identity後藤 基行

COVID-19による深刻な社会問題の一つに、罹患当事者・関係者に対する差別・バッシング・ハラスメントが広範に行われていることである。本研究では、この実態を明らかにするため当事者・関係者にインタビューや質問紙調査を行い、その上で過去の類似事例との歴史的な比較考察を行う。また、これらの記録を後世に残して将来への教訓とするため、資料のアーカイビングにも取り組む。

Withコロナ時代のアジア研究を先導する《拡張現実》の活用と情報可視化の手法開発

businessアジア・日本研究機構科 教授 perm_identity小杉 泰

Withコロナ時代となって、グローバル社会が激変しており、アジアについても、その変化と今後をしっかりと把握する必要がある。ところが、Withコロナ時代は現地調査が困難になっている。そこで、ネット上の拡張現実を活用してアジア研究を推進し、その成果をわかりやすい情報可視化によって示す方法を開発する

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