東北アジア・朝鮮半島と日本の疎通と協働-平和構築の視点から | 日本と東北アジアの歴史に向き合い、持続的平和の構築を目指す。

日本と東北アジアに求められる「平和・相生社会」の構築

日本と東北アジアは、過去、現在の歴史が緊密に絡み合い、歴史認識の相違をはじめ、いまだに分かち合うことのできないさまざまな課題を抱えています。さらに冷戦時代の日米同盟の枠組みの意味が変容するのに伴い、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核・ロケット問題をはじめ、東北アジアの平和を脅かす新たな緊張感も生まれています。冷戦崩壊とグローバル化、東北アジアの経済力、文化力の飛躍的発展が進む今、日本と東北アジアとの疎通と協働への可能性を見出し、ともに「平和・相生社会」の構築を目指していくことが求められています。

本プロジェクトは、日本と東北アジア、特に朝鮮半島について歴史的に考察することを通して持続的な平和を構築していくための具体的なビジョンを明らかにし、政策提言を行うことを使命としています。

安全保障、民主主義、歴史理解 3領域を学術横断的に研究

プロジェクトでは、“東北アジアの「平和・相生社会」のビジョン”を総合レポートとしてまとめ、発刊することを最終目標に据えています。具体的には、安全保障、民主主義、歴史理解の3領域について、法学、政治学、経済学、歴史学、社会学など多様な分野から学術横断的に研究を推進していきます。

安全保障の枠組みでは、韓国の大学との交流を通して、東北アジアの安全保障に関する統計、議論についての社会調査を実施し、資料分析と政策提言のためのレポート作成を行います。民主主義については、東北アジア、とりわけ韓国民主化過程における法的・政治的変化を分析し、平和研究へと発展させていくつもりです。また東北アジアにおける「歴史理解」についての相克と、その歴史的脈絡、認識の相互作用についても分析し、今後を展望したいと考えています。

国内外での学術交流 成果の発信を積極的に推進

研究活動のみならず、本プロジェクトでは、国内外の多様な専門家との交流、成果や情報の発信にも力を注ぎます。これまでにも「次世代研究者フォーラム」の開催、多数の書籍の発行といった実績を重ねてきました。とりわけ韓国の研究者を招へいしたシンポジウムや研究会を積極的に開催しています。個々の研究者が交流する中でこそ、なかなか溝の埋まらない問題を解決する糸口を見出すことができるはずだと私たちは考えています。2010年3月には紀要『コリア研究』を創刊しました。研究成果の報告だけでなく、韓国の学術書の新刊紹介など、国境の壁を越えて学術交流する実践的な試みを取り入れたものとしています。

こうした活動で中心的な役割を果たすのが、立命館大学のコリア研究センターです。センターでは、多様な学問領域に及ぶ国内外の研究者・文化人のネットワークを持ち、海外の専門家も参加してのシンポジウムや研究会、共同研究を活発に行っています。韓国の大学や研究センターとも多くのネットワークを有し、成果の幅広さ、深さについては世界的にも高い評価を得ていると自負しています。センターの情報、知識、人材、ネットワークを最大限活用しつつ今後も研究活動とともにシンポジウムの開催や紀要の発行を継続し、実行力のある政策提言に結実させたいと考えています。

※2012年度より、プロジェクトリーダーを桂島宣弘教授(文学部)から勝村誠教授(政策科学部)に交代しました。

平和、安全保障、歴史認識、東北アジア、韓国

勝村 誠 教授

勝村 誠 教授

1995年 中央大学大学院法学研究科政治学専攻博士課程後期課程満期退学。法学修士。’99年 立命館大学政策科学部助教授、’07年 同教授、現在に至る。 ’05年12月~’09年11月 大韓日語日文学会(大韓民国)海外理事、’09年12月~’11年10月 大韓日語日文学会(大韓民国)編集委員、’11年4月~日本社会文学会理事(関西ブロック理事)、‘11年4月~ 立命館大学コリア研究センター センター長。
日本政治学会、歴史学研究会、日本史研究会、日本社会文学会、朝鮮史研究会、東アジア近代史学会、大韓日語日文学会(大韓民国)などに所属。

研究者の詳しいプロフィール
立命館大学研究者データベース:勝村 誠

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