先生はアバター共生社会の未来を形作る研究を進めるだけでなく、日本で3人の小さな子どもたちを育てる喜び(と、きっとその大変さも!)に日々奮闘されています。先生がこれまでどんな道を歩み、どんな研究をしていて、技術の進歩に注ぐ時間以外はどのように過ごしているのか、全部聞いちゃいましょう!
<立命館大学への道程>
RADIANT、以下R: まず、先生のこと、今の仕事、どうやって立命館大学に来たのか、ちょっと聞かせてもらえますか?
エル・ハフィ・ロトフィ先生、以下LEH: もちろんです!私はエル・ハフィ・ロトフィです。総合科学技術研究機構(総研)の准教授をしています。2013年にベルギーのルーヴァン・カトリック大学(UCLouvain)でメカトロニクス工学の修士号を取得して、2017年には日本の奈良先端科学技術大学院大学で工学博士号を取得しました。立命館には2017年からいるので、2025年時点でもう8年くらいになりますね。ここに来る前、修士課程のインターン中には、intoPIXとの共同研究でUHD 4K/8K動画用のTICO圧縮技術(後のJPEG XSとして標準化された技術)の開発にも関わったんですよ。
R: すごい経歴ですね!立命館大学を選んだ決め手って何だったんでしょう?
LEH: 一番大きかったのは、谷口忠大教授(現・京都大学教授)と一緒に研究できるチャンスがあったことです。先生とは2017年のアマゾン・ロボティクス・チャレンジという国際ロボット競技会で知り合いました。その後、私は立命館グローバル・イノベーション研究機構(R-GIRO)の創発システム研究室に入って、サービスロボティクスとAIを研究しました。谷口先生のビジョンが、エクステンデッド・リアリティ(XR)のような新しいユーザーインターフェースのみならず、具現化されたAIや実世界展開に対する私の関心とバッチリ合っていたんです。
R: 研究のために海外から日本に来るって、特有の苦労があったんじゃないですか?一番大変だったのは?
LEH: 間違いなく、日本の研究文化と、何気ない「暗黙の了解」みたいなコミュニケーション法に慣れることが最大のチャレンジでしたね。これは単に日本語ができるかどうかを超えた話ですから、意識的に学んで実践する必要がありました。あとは、ビザの手続きとか、企業との取引における税務・会計、公的助成金の申請といった事務的なハードルも、マスターするのに時間がかかりました。でも、こういった経験のおかげで、日本全国の同僚たちと持続的な異文化間協働の実践を築けたので、長い目で見れば本当に価値のある苦労でしたよ。
<研究とイノベーション>
R: 今、具体的にどんな研究に取り組んでいるのか教えてもらえますか?
LEH: 主に参画しているのは、大阪大学の石黒浩教授が率いるJSTムーンショット型研究開発事業です。これは「誰もが自在に活躍できるアバター共生社会の実現」という目標を掲げています。私の研究は、サービスロボティクスとAIが交差する部分で、XR環境でのマルチモーダルロボット学習や、システムをしっかり統合する技術にフォーカスしています。あと、私が仲間たちと一緒に立ち上げた会社(コアロボ合同会社、京都府精華町)と協働で、ロボティクス分野での研究開発や技術移転を加速させるために、オープンなコンテナ化ソフトウェア開発環境(SDE)の構築も進めていますよ。
R: 立命館大学の研究環境やサポート体制についてはどう感じていますか?
LEH: 立命館大学は、本当に協力しやすい環境を提供してくれています。R-GIROや創発システム研究室のような研究グループが、野心的な学際プロジェクトや学生の指導、産学連携を積極的に後押ししてくれます。私自身も、主任研究者として学内資金に何度か採択してもらっていて、その一つが「国際共同研究促進プログラム」です。このおかげで、ベルギーのUCLouvain、スウェーデンのカールスタード大学、南デンマーク大学などのパートナーと、活発な日欧国際研究拠点を作ることができました。私たちは、内閣府が掲げている労働力不足や高齢化といったSociety 5.0やIndustry 5.0の重要な課題を解決するために、AIとXRを使った人間とロボットの協働技術を開発することに力を入れています。
<研究室から離れて>
R: ちょっと話題を変えて—先生は日本でどこに住んでいらっしゃるんですか?生活環境はどうですか?
LEH: 奈良の高の原駅の近くに住んでいます。すごく素敵なエリアで、とても静かで家族連れにも優しい環境ですよ。奈良市の文化的な遺産も楽しめるし、京都や大阪の産業・研究拠点にもアクセスしやすいのがいいですね。緑豊かな環境と研究機関がうまくバランスしています。
R: 研究で忙しい毎日だと思いますが、休日はどう過ごしているんですか?
LEH: 妻と私には、1歳、4歳、5歳の幼い子供が3人いるんですよ。だから週末は間違いなく家族サービス中心です! 今は、子供たちの習い事、水泳、プログラミング、ピアノ教室などに大半の時間が消えていきます(笑)。天気が良ければ、必ず近くの公園で遊ぶ時間を作っています。自分の時間が取れるときは、特にストーリーが面白いRPGビデオゲームを楽しんでいます。
R: 大変そうですけど、幸せなご家庭ですね!ご家族のお気に入りの場所ってありますか?
LEH: 主に奈良周辺とか京阪奈エリア(京都府南部)の公園が好きですね。でも、私だけの特別な秘密のスポットがあるんです。若草山です。夜は奈良市の夜景がすごくきれいなんですよ。妻と私にとっては、プロポーズの場所であり、フォトウェディングの場所でもあるので、思い出深い場所なんです。
R: 素敵な思い出ですね。そういえば、立命館大学では普段、どんな先生たちと交流されていますか?
LEH: 指導教官だった谷口忠大先生の他に、情報理工学部の谷口彰講師や、R-GIRO/総研のガルシア・グスタボ准教授とは特に密接に連携しています。主に海外の若手研究者や訪問研究者の指導を中心に、プロジェクトや責任を分担するんです。もちろん、創発システム研究室の他の先生方や学生、R-GIROやJSTムーンショット型研究開発事業に関わる共同研究者とも頻繁に話しますよ。
<今後の展望>
R: 最後に、立命館大学での今後の研究の主な目標について教えてください。
LEH: 今一番力を入れているのは、やっぱりアバター共生社会の実現を目指すJSTムーンショット型研究開発事業です。この中で、XR環境でのマルチモーダルロボット学習を進めて、インテリジェントなサービスを広く展開できるようにしていきたいですね。研究と並行して、企業との連携をもっと深めること、そして何より立命館大学で次の世代の若い研究者を育てることにも力を入れていくつもりです。