今回は総合科学技術研究機構 准教授の元村一基先生の今を追いかけます!
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研究の可能性を広げる場として選んだ立命館
立命館大学に所属するまでの経歴を教えてください。
元村: 2015年に東京大学大学院を修了後、2019年まで名古屋大学にて日本学術振興会特別研究員(PD)として研究を行いました。PD期間の最後の半年間はヨーロッパに留学し、国際的な研究経験も積みました。2019年4月に立命館グローバル・イノベーション研究機構(R-GIRO)の助教として立命館大学に着任。その後、科学技術振興機構(JST)さきがけの専任研究員を経て、再び本学生命科学部の助教に。2024年からは総合科学技術研究機構の准教授として研究を続けています。さきがけ期間も含めると、立命館大学には現在7年目の所属となります。
立命館大学を選んだ理由はなんですか?
元村: 海外留学中に次のポストを探していたところ、共同研究者でもあった竹田篤史教授がR-GIROで助教ポストを公募していることを知りました。当時、他にも共同研究者が立命館大学に所属しており、自身の研究を進める上で非常に良い環境だと感じたため、応募を決意しました。
実際に立命館大学で働いてみて、雰囲気などはいかがですか?
元村: 着任当初はR-GIROに所属していましたが、竹田研究室が所属する生命科学部の先生方と交流する機会が多く、非常に居心地の良い環境でした。先生方の仲も良く、温かい雰囲気があります。大学全体としては、これまで所属していた国立大学に比べて学生数が多く、研究室内はもちろん、キャンパスや授業も活気にあふれています。まさに「THE大学」といった印象で、昼食時にはキッチンカーや弁当屋がキャンパスに来るなど、学生生活も賑やかです。
誰もが知る現象に、オンリーワンの研究アプローチを
インタビュー当時から現在に至るまでの研究の進捗や成果を教えてください。
元村: 植物のオスにあたる「花粉」の能力について、特に遺伝子発現の観点から引き続き研究を進めています。これまでの成果が学会などで評価され、2023年には植物形態学会から「奨励賞」、2024年には植物学会からも「奨励賞」を受賞するなど複数の表彰を受けました。2025年には継続的な研究が認められ、文部科学大臣表彰「若手科学者賞」をいただきました。
2024年からは総合科学技術研究機構の准教授に採用いただき、自身の研究グループを主宰し、新たな研究テーマにも取り組んでいます。2023年にはJST創発的研究支援事業(以下:JST創発)に立命館大学教員として初めて採択され、研究の幅をさらに広げています。
ここが自分の研究の面白いところ!オリジナリティを教えてください。
元村: 植物が種をつけるという、誰もが知っている生命現象に着目している点が特徴です。一般的な現象に対して、独自の解析手法を複数確立し、それを用いた実験によってオンリーワンな研究アプローチを展開しています。確立した新技術の中には、他分野にも応用可能なものが多く、それを基盤に共同研究も進めています。独自性が研究の広がりにつながっていると感じています。
研究を進める過程で、苦労したり壁にぶつかることはありますか?
元村: 日々壁にぶつかっています。生物学では、期待外れの実験結果や急にうまくいかなくなることが多く、感覚的には半分くらい失敗しているように感じます。3歩進んで2歩下がるような感覚です。
ネガティブな結果ばかりが続くと気分が落ち込むので、面白そうな論文を読んで新しい実験アイデアを考えたり、別の実験にトライしたりして気分転換しています。うまくいかないことに固執せず、他のことに時間を使うことで、別の面白い結果が得られて気持ちが晴れることもあります。研究補助員の皆さんの協力も大きく、時間的な制約を乗り越える助けになっています。
立命館大学の研究環境(設備や制度、サポートに関して)はどうですか?
元村: 研究者のことを考えた制度が柔軟に整備されている印象があります。例えばJST創発に採択された際には、総長・副学長との懇談を通じてスタートアップ資金制度を作っていただけました。また、2023年度まで助教だった私を総研准教授として迎えていただいたのも、私学ならではの柔軟な制度設計の強みだと感じています。研究スペースも確保されており、恵まれた環境で研究を進めることができています。
立命館大学で交流のある先生はいますか?
元村: 生命科学部の竹田篤史教授とは、現在も継続的に共同研究を行っています。その他にも生命科学部の数人の先生方と共同研究をしており、懇親会などにも参加させていただいています。
研究者を目指す大学院生や若手研究者に向けて、研究者になることの魅力を教えてください。
元村: 自分が興味を持った現象をとことん突き詰めることができる点が最大の魅力です。誰も知らなかった普遍的な現象を世界で初めて発見できること。自身の考えた新たな技術がうまく機能して世界初の発見につながることは、何物にも代えがたい喜びです。
研究者は基本的に自分のアイデアで動くため、自由な発想で仕事を展開できます。成果を出していれば、家族と過ごす時間も十分に確保できるなど、働き方の自由度も高い職業です。
最後に研究についてこれからの展望をお聞かせください。
元村: 花粉は植物の種のもとになるため、これまでも重要な研究対象でしたが、研究を通じて花粉には細胞として、研究材料として、まだまだ多くの魅力があることが分かってきました。今後も研究を継続し、生命の普遍原理をさらに明らかにしていきたいと考えています。
誰もが知る花粉についての遺伝子研究を進め、その研究成果が多方面から評価されている元村先生。今後も先生の研究の進展にますます注目です!
元村先生、ありがとうございました!