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RADIANT Family:立命館での経験と今の視点 福谷 充輝先生

RADIANT 10周年記念 特別インタビュー Vol.3

RADIANT10周年を記念した特別インタビュー第二弾では、立命館大学の経験を経てステップアップした研究者にインタビューしました!
立命館大学から離れてみて感じたいいところ、改善点、立命館大学での研究がどう今の研究に生かされているのかお聞きしました!

今回は新潟医療福祉大学健康科学部健康スポーツ学科 准教授福谷充輝先生にご登場いただきます!

立命館大学に所属していた時の研究概要を教えてください。

福谷:筋収縮に関する研究を行っていました。私の特徴としては、筋収縮に関する現象を、ヒト生体レベルから、分子レベルまで幅広く扱っていることが挙げられます。
具体的には、ボディービルダーを含む明らかに筋骨隆々な人と、人生において一度も定期的なトレーニングを行ったことのない人の筋や腱の構造の違いを、MRIや超音波を使って検証したりする一方で、単一の筋細胞を抽出し、X線回折という手法を用いて、アクチンやミオシンといった筋収縮タンパク質の挙動をnmスケールで計測したりしています。
これらの独特な研究経験を踏まえて、最も力を入れていた研究は、生体という生理的環境が維持された環境下において、mmスケールの筋線維動態、μmスケールのサルコメア動態、nmスケールのクロスブリッジ動態という、筋の多階層構造を同時に捉える研究です。

現在はどのような研究をされていますか?

福谷:立命館大学在籍時に行っていた上述の研究を発展させていくことに最も力を入れています。
一般的にヒト生体の身体運動といったマクロな計測を行うときには、現象そのものを捉えることが出来る一方で、メカニズムには踏み込めないという問題があります。この問題を解決するために分子のようなミクロな計測を行うと、その時に得られた結果が、生体の運動という生理的環境下にも適用できるのかどうかは疑問という問題を抱えます。
このように、マクロとミクロを別々に計測すると避けられない問題を、マクロとミクロを同時に計測することで根本的に解決したいと考えています。言い換えれば、現象(マクロ)とメカニズム(ミクロ)を同時に捉えたいと考えています。
また、現在は自身のラボを持ったことで一緒に研究を進める仲間が増えつつありますので、研究のバリエーションを増やしていこうと考えています。主にヒト生体を対象とした、ストレッチや筋力トレーニングなどの身体運動パフォーマンス向上に直結する研究を行うメンバー、そして、動物の摘出筋や筋細胞を対象とした、筋収縮メカニズムに迫る研究を行うメンバーがおり、このようなメンバーが長期的視点を持って取り組める研究テーマを用意したいと考えています。
また、外部との共同研究にも力を入れており、幸いにも筋収縮分野で歴史に名を残すような研究者と一緒に研究をすることが出来ていますので、このような関係を大事にしつつ研究を進めていきたいと考えています。

立命館大学での研究環境はいかがでしたか?どのように研究活動にご活用されたかお聞かせください。

福谷:私が非常に助けられたのは国際共同研究制度プログラムです。私が科研費の国際共同研究強化(A)を取得してキングス・カレッジ・ロンドンとの関係を構築し始めた後に、立命館大学の国際共同研究制度プログラムに採択していただきました。このプログラムのお陰で、私自身が再度キングス・カレッジ・ロンドンに訪問して実験を行ったり、立命館大学の若手教員や大学院生、学部生をキングス・カレッジ・ロンドンに呼んで研究を体験させることができ、良好な関係構築に繋がりました。
このようなこともあり、科研費の海外連携研究にも採択され、キングス・カレッジ・ロンドンとの共同研究を安定して続けることが出来ています。

Global Impact記事:Regulation of muscle contraction by the deformation of myosin head

立命館大学を離れてから感じた“いいところ”はありますか?

福谷:リサーチオフィスや倫理審査委員会、安全管理室といった研究関連部署の人員数が非常に多く、力の入れ方が違うと感じています。特定の業務におけるスペシャリストを用意しているイメージです。
また、最近ある大学のURAが講師を務めていた研修会に参加したとき、「URAに力を入れている大学はどこがありますか」という質問があり、その時に立命館大学の名前が真っ先にあがっていました。

反対に改善点はありますか?

福谷:研究費申請に関して、可能であれば、申請先に応じたサポートがあればよかったと思います。現行の科研費申請サポートは基盤Cや基盤B辺りを狙う人には適したものだと思いますし、そこをサポートすることが狙いだったと思います。
一方で、より大型の研究費やAMED、さきがけ等を狙うには、それに応じた対策が必要だと思われ、これらの採択を具体的な目標として考えているのであれば、どのような状況、どのようなケースで採択されているのかという実情を把握し、その本質に迫るアプローチを戦略的に行う必要があると感じています。

立命館大学での研究は現在の研究へどのように繋がっていますか?またこれからの展望も教えてください!

福谷:私はポスドクの後、立命館大学に助教として赴任しました。このタイミングを機に、軌道に乗せるには相当の時間がかかることを覚悟の上で、今後の研究者人生の柱となるような、大きなインパクトを残せる研究に着手したいと思い、その道を探してきました。それが様々な縁や偶然が重なり、現在の【生体の身体運動中に分子の挙動も捉える】という、まさに私の思惑と合致した、かつ、私の独特な研究経験を反映するような研究テーマを進めることが出来るようになりました。
私の研究テーマである、「反動動作による身体運動パフォーマンス増強」という現象は、一度しゃがみ込んで筋を引き伸ばしたほうが、その後に高く跳べるといったものです。苦しみながらやっと研究テーマを見つけたという現在の私の状態は、この「(まだ跳んではいないが)しゃがみ込んで力を蓄えた状態」だと考えていて、これがあるからこそ、今からジャンプするとより高く跳べると考えています。
つまり、今は準備が整った状態といえるため、これから一気に研究を発展させられるよう、全速力で駆け抜けていきたいと考えています。

立命館大学でご自身の研究の力を蓄え、国際共同研究まで発展させた福谷先生。先生のご研究がますます大きく飛躍することを期待しています!
福谷先生ありがとうございました!

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