今回は京都大学大学院 情報学研究科 教授の谷口忠大先生に登場いただきます!
立命館大学に所属していた時の研究概要を教えてください。
谷口:立命館大学在籍時には、「記号創発ロボティクス(Symbol Emergence in Robotics)」という分野を開拓していました。人間の赤ちゃんのように感覚運動情報を基にして、いかにロボットが概念形成や言語獲得を行えるかというようなことを研究し、またサービスロボットへの応用を研究していました。さらに、自由な研究環境の中で、その他にも自律分散型スマートグリッドの研究、ビブリオバトルをはじめとしたコミュニケーション場のメカニズムデザインの研究など多岐に渡る研究展開をさせていただきました。
RADIANT記事:ロボット×AIの未来人間の子どもと同じように言葉や概念を獲得していく人工知能。
Toward Robots We Can Live Together
現在はどのような研究をされていますか?
谷口:現在は京都大学大学院情報学研究科において、「記号システム論」という私自身の構想したシステム論の基で、ロボティクスを超えて、学術融合的な展開を行っています。立命館大学時代は「創発システム研究室」でしたが、これをさらに尖らせて京都大学では「記号創発システム研究室」を構え、集合的予測符号化(Collective Predictive Coding)という理論を提案すると共に、人工知能、ロボティクス、認知科学、哲学、人工生命などを渡る多面的な研究展開を行っています。
立命館大学での研究環境はいかがでしたか?どのように研究活動にご活用されたかお聞かせください。
谷口:立命館大学では、研究推進を担当するオフィスや学内助成制度の整備が非常に充実しており、若手研究者が自由に挑戦できる環境が整っていました。また「教員の教育研究活動を応援しよう!」というマインドが職員に共有されているのが、とても素晴らしいと思います。
研究推進においては、特に、R-GIROの拠点形成は学際的な研究を推進するとともに、人材育成を主眼においており、その懐の深さは本国の研究推進政策も見習うべき成功事例かと思います。この環境の中で、ロボティクス・認知科学・AIなど異分野の研究者との連携が促進され、私自身のキャリアや学術探求の基盤となったと、心から感謝しています。
立命館大学を離れてから感じた“いいところ”はありますか?
谷口:立命館大学の良さは、民間的な気風と、チャレンジ精神、風通しの良さにあります。また事務職員の職務規範意識も高く、研究支援部門の方々が非常に親身で、研究者の個々の挑戦を尊重しながら後押ししてくださる点も特筆すべき魅力です。このような「研究者を信頼し、自由に挑戦させる文化」は、他大学と比べても立命館の大きな強みだと感じています。
反対に改善点はありますか?
谷口:学究的な研究に関しては、なかなかその水準が上がりきらないという葛藤はあるかもしれません。学部教育がやはり経営の基盤にあるので、そのあたりは綱引きはあるかと思います。とはいえ、関西私学の雄であり、立命館大学の成功が、関西の未来を決めるというような側面もあるように思います。これからも頑張って欲しいですし、学外から連携できることがあれば、なんなりとお申し付けください。
立命館大学での研究は現在の研究へどのように繋がっていますか?またこれからの展望も教えてください!
谷口:立命館にいる間に育てた「知能を創発的・分散的過程として捉える視点」は、現在の研究の基盤となっています。 集合的予測符号化の考え方は、AI・ロボット・人間の協働による科学研究や創造的活動の理論的中核となり、今後は工学研究を超えて、総合的な人間・社会の研究を通して、より良い未来へと貢献できればと思います。
本学の立命館先進研究アカデミーRARAフェローとしてもご活躍いただいていた谷口先生。現在は立命館大学での研究をさらに発展させ多面的な研究に取り組んでおられるようです。先生のさらなるご活躍を応援しています!
谷口先生ありがとうございました!