研究プロジェクト・データベース

研究総合テーマ

「環太平洋文明学」の構築

 気候変動は文明を生みだす基本条件であり、同時に文明の崩壊の条件でもあった。カタストロフィーの筆頭には気候の変動がある。また、人間の存在が人間に対してもたらすカタストロフィーもある。
 初代センター長の安田が中心となって推進した「年縞による環境考古学」によって、巨大都市から、今も保持される先住民族までの多様性を擁する「環太平洋文明圏」の興亡の原因追及と持続発展の可能性の条件を解明する。

  • 1環太平洋造山帯の風土を反映した文明の実証的研究
      環太平洋造山帯は地震や災害の巣窟である。
     「環太平洋文明学」の構築のために、地震や災害が環太平洋の文明の興亡にいかなる影響を与え、それがこれからの未来の環太平洋の文明にいかなる影響を与えるかを、年縞堆積物中に挟まれた地震層・洪水層、さらには津波堆積物の各種分析から解明する。
  • 2カタストロフィーと文明の研究
      考古学的調査や災害地理学的検証結果を照らし合わせ、それぞれの条件によって制約される物質循環の様態、そして、気候、自然災害、大規模技術破壊などのカタストロフィーが招来する物質循環の崩壊過程を客観的に把握し、カタストロフィーが人間の営為、さらには文明におよぼす影響を実証的に計測する。
     こうして解明される環太平洋レベルのマクロな考古学的スケールで、人類学の個別フィールド調査の結果を検証する。
  • 3物質循環系モデルの構築
      地球を構成する森林、海洋、それらを結ぶ河川は本来不可分に結びつき、地球全体の「循環系」としての機能を果たしてきた。かつて文明が栄え人間によってこの連環が破壊され文明が崩壊したところでは、年縞の形成がある時突然に中断する。
     森里海の連環モデルを構築することで各フィールドでの森里海の物質循環・水循環を解明するとともに、文明が繁栄した時代の森里海の連環と、崩壊した時代の森里海の連環を復元し、文明の興亡に森里海の連環の破壊と崩壊がいかなる影響をもたらしたかを解明する。そして文明が繁栄した時代の森里海の循環を未来に復元するにはどうすればいいかについての提案を行う。
▼ 環太平洋生命文明圏
環太平洋生命文明圏

第4期R-GIRO研究プロジェクト
人類史的にみた災害・食糧危機に対するレジリエンス強化のための学際的研究拠点

1.研究目的

 ユヴァル・ノア・ハラリ(e.g.『サピエンス全史』、2016年)やジャレッド・ダイアモンド(e.g.『銃・病原菌・鉄』、2012年)の一連の著作が話題になったり、人類が環境や気候変動に多大な影響をもたらした産業革命以後の約200年間を「人新世」と位置づける議論が興隆したりするなど、近年、人類史が空前のブームとなっている。その背景には、温暖化や環境破壊が限界域に到達し、災害やパンデミックの頻発に危機感が増大していること、そして人工知能をはじめとするテクノロジーの進展に伴い、人類の未来を展望しにくくなっていることが挙げられよう。人類社会が岐路に立つ現代、気候変動に伴って頻発する食糧危機や災害に実効性のある解決策を見いだすためには、時間的・空間的スケールの大きな視座に立った研究拠点が必要とされていることは自明である。しかしながら、歴史学や進化生物学、経済史学、哲学など特定の学問分野に立脚した議論は、個々の政治的主張や展望に即して論拠をつなぎ合わせた大局的なものとなりがちであり、時としていたずらに危機感を煽ったり、デジタル革命によるユートピアを展望したりと、過去の自然環境と人類に関する実証的な見地から未来の展望を切りひらく道標を提示していないと批判されてもいる(cf. ボヌイユ&フレソズ『人新世とは何か』、2018年)。 本研究プロジェクトは、環太平洋地域の環境特性とそこで育まれた独自の文明に立脚し、(1)古気候学・考古学・地理学・歴史学・人類学による過去の気候変動と災害・食糧危機に関する学術的に堅牢な実証を元にして、(2)資源地政学、テクノロジーマネジメントや情報工学、経営技術、都市政策の分野の研究者との協働により、現代の「災害・危機対応に対する人類社会のレジリエンスを強化する」ための実行力のある提言をおこなうことを目的とする。

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2.研究目標

(1)古気候学研究センターが開発した世界最新鋭のシステムを用いて日本及び中南米の気候変動を世界最高の精度で解明する。日本および中南米の災害に関わるインフラ技術を公共考古学・文化人類学の知見から分析する。


(2)近世の日本を中心として、気候変動に伴う食糧生産の変容および当時の栄養状態を史料分析と毛髪の科学的分析をもとに解明する。土地の履歴から地震や洪水等のリスクを明らかにしてGIS地図化し、災害と人口動態との関係を超長期的に検討する。それを踏まえ、未来に生じうる食と災害のリスク可能性を減じるための提案をおこなう。


(3)現代の食糧危機に関わるグローバル・サプライチェーンの安定性・持続性に関わるリスクの分析、大規模自然災害に関わる脆弱性の析出を踏まえ、地球資源の衡平な分配・利用の仕組み、および災害に対する/からの復興におけるレジリエンスを明らかにし、危機や災害につよい持続的な社会の実現に向けた提言を行う。


(4)第1から第3グループの研究成果を元にしたコミュニティ依存型の複声的なビジネスプラットフォームのデザイン手法、レジリエンスの人類史に関する地理空間情報プラットフォームを構築する。企業・自治体等によるテクノロジーを駆使した現行の食糧危機・災害に対する取り組みを調査・検討し、上記の手法・プラットフォームを用いて本プロジェクトの成果の社会的還元・社会実装化を目指す。


3.研究グループ
第1班:古気候学
研究課題 「人間の時間スケール」で見た気候変動と災害およびインフラ技術の歴史
代表者 中川 毅
総合科学技術研究機構 教授
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第2班:歴史学
研究課題 歴史的知見を生かした食リスク・災害リスク課題解決の提案
代表者 鎌谷 かおる
食マネジメント学部 准教授
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第3班:資源地政学
研究課題 食料危機と災害克服の現在―グローバル/ローカルな視座からのレジリエンスの再考
代表者 宮脇 昇
政策科学部 教授
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第4班:文化人類学
研究課題 食糧危機と災害の未来―文化情報のデザイン化とテクノロジー的解決の再検討
代表者 小川 さやか(プロジェクトリーダー)
先端総合学術研究科 教授
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データベース

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