2010年9月13日更新
肥満に関する遺伝子は既に100以上発見されているという。つまり先天的に太りやすい人がいるわけだ。
「そうした肥満体質を遺伝子で確認して、運動で痩せやすい人、食事で痩せやすい人、どちらも効果が出ない人に分類。どのような遺伝子が減量に具体的に影響しているかを調べています」と真田樹義は語る。誰でも体験的に納得できることだろうが、それが初めて科学的に実証されるのである。
「スポーツクラブのインストラクターの時代に、肥満遺伝子の検査を会員の方に実施して、あなたは太りやすいですよ、と言うことしかできなかったんです。じゃあ、その場合どうしたらいいのかを具体的に指導できないと意味がないなと思って」
今の研究の原点は、約15年に亘る運動指導やマネジメントの経験であり、現場で切実に求められている実践的なサイエンスを確立していきたいという思いだ。
「減量に効く遺伝子を特定していきます。その遺伝子から、食事と運動とどちらが減量に効果があるのか、その割合をどうすればいいのか、個々の体質をみながらのアドバイスが可能に。このメカニズムを完全に解明し、また特定した遺伝子の解析をキットで判断できるなど、より簡単にできるようになればテーラーメードのヘルスケアが可能になるわけです」
最近、自分の身体で実験を行い、15キロの減量に成功。「私は昼休みに20分運動をする、アルコール摂取の前に野菜を摂るなど5つの習慣で減量に成功。日常生活に取り入れて継続できるかどうか、自分でコントロールできる力がつくかが重要です。これらの目標を体質の違いで決めることができれば、さらに減量の可能性は高まります」
真田の研究は、単なるダイエットの研究ではない。
「国民の生活習慣病にかかわる医療費は年間で約10兆円。個人に対応した適切な食事制限と運動を組み合わせれば、効果も自覚でき継続することができる。その結果病気の予防になる。この研究成果をきっかけに脱メタボリックシンドロームを目指す人が増えれば、医療費の削減にも直結しますから」
真田は続ける。
「調査や研究だけで満足したくない。現場で使える応用を考えていきたい。それが一番求められていますから」
このページに関するご意見・お問い合わせは 立命館大学広報課 Tel (075)813-8146 Fax (075) 813-8147 Mail koho-a@st.ritsumei.ac.jp