2010年9月13日更新

減量に効く肥満遺伝子の特定により、実現可能なテーラーメードの予防法を探る

真田 樹義
スポーツ健康科学部 准教授
博士(理学)。1965年兵庫県生まれ。1988年鹿屋体育大学体育学部卒業後、スポーツクラブのインストラクターに。2002年に東京都立大学理学研究科身体運動科専攻修士課程修了。2005年に同博士課程修了。2005年から早稲田大学先端科学・健康医療融合研究機構の専任講師、准教授を経て、 2009年4月から現職。学生時代は800 メートルの陸上選手。インストラクター時代に「肥満体質はある。ではそれをどうするかを研究したい」と大学院に入学。運動指導の現場を熟知している先生だ。
スポーツ健康科学部ブログ[あいコアの星]

肥満に関する遺伝子は既に100以上発見されているという。つまり先天的に太りやすい人がいるわけだ。
「そうした肥満体質を遺伝子で確認して、運動で痩せやすい人、食事で痩せやすい人、どちらも効果が出ない人に分類。どのような遺伝子が減量に具体的に影響しているかを調べています」と真田樹義は語る。誰でも体験的に納得できることだろうが、それが初めて科学的に実証されるのである。
「スポーツクラブのインストラクターの時代に、肥満遺伝子の検査を会員の方に実施して、あなたは太りやすいですよ、と言うことしかできなかったんです。じゃあ、その場合どうしたらいいのかを具体的に指導できないと意味がないなと思って」

今の研究の原点は、約15年に亘る運動指導やマネジメントの経験であり、現場で切実に求められている実践的なサイエンスを確立していきたいという思いだ。
「減量に効く遺伝子を特定していきます。その遺伝子から、食事と運動とどちらが減量に効果があるのか、その割合をどうすればいいのか、個々の体質をみながらのアドバイスが可能に。このメカニズムを完全に解明し、また特定した遺伝子の解析をキットで判断できるなど、より簡単にできるようになればテーラーメードのヘルスケアが可能になるわけです」

最近、自分の身体で実験を行い、15キロの減量に成功。「私は昼休みに20分運動をする、アルコール摂取の前に野菜を摂るなど5つの習慣で減量に成功。日常生活に取り入れて継続できるかどうか、自分でコントロールできる力がつくかが重要です。これらの目標を体質の違いで決めることができれば、さらに減量の可能性は高まります」

真田の研究は、単なるダイエットの研究ではない。
「国民の生活習慣病にかかわる医療費は年間で約10兆円。個人に対応した適切な食事制限と運動を組み合わせれば、効果も自覚でき継続することができる。その結果病気の予防になる。この研究成果をきっかけに脱メタボリックシンドロームを目指す人が増えれば、医療費の削減にも直結しますから」 真田は続ける。 「調査や研究だけで満足したくない。現場で使える応用を考えていきたい。それが一番求められていますから」

減量前
減量後
AERA 2009年8月3日号掲載 (朝日新聞出版)
真田先生、1年間で15キロの減量に成功されています。減量するにあたって、立てられた目標は次の5つ......(→続きを読む)

取材こぼれ話

真田先生の取材日は好天に恵まれました。高校時代は陸上選手だったということから、灼熱の太陽の中、グラウンドでジャケットを着て写真をお願いしました。 撮影後には、着替えをされるほど汗だくに・・・。 真田先生、1年間で15キロの減量に成功されています。
減量するにあたって、立てられた目標は次の5つ。

① 昼休みに20分運動をする
② スポーツクラブに行く(月に10回程度)
③ 夜、ビールを飲む前に野菜を食べる
④ 22時以降は食べない
⑤ 摂取したアルコール量を記録する
この5つを守っているのだそうです。

とは言っても、お仕事の付き合いや、飲み会等があったりするわけで、22時以降に食べたり飲んだり、たくさん飲んだりすることがあるわけです。そういった時は、その前後に自分でいろいろコントロールするのだそうです。 重要なのは、自分でコントロールできるようになること。後、ダイエットの目標を決めるときに、「これだったら一生できる」と思えるかどうかも重要なのだそうです。なので、「○○だけを食べる」といったものは、向かないのだそうです。 また、キャンパスまでは、南草津駅から歩いて通勤されています。しかも、履いておられる靴がMBT(マサイベアフットテクノロジー)という靴。 慣れるまでは、履いているだけでも大変という噂の靴!こういったことの積み重ねなのですね。


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