松谷 龍太郎

「いろいろな事に興味を持って外向的に取り組んでほしい」

松谷 龍太郎

松谷 龍太郎

理工系修了生インタビュー第5弾として、2012年3月に本学理工学研究科博士課程後期課程を修了された松谷龍太郎さんにお話をうかがいました。

松谷さんは現在、西宮市の公立高校の教員として、高校1年生の物理と高校2・3年生の化学を担当され、吹奏楽部の顧問としても活躍されています。

松谷さんは小さい頃から「学校の先生になりたい」という夢があったそうです。そのため、小学校、中学校、高等学校の教員免許を立命館大学で取得されています。

博士号を持つ高校の教員として、「博士の強み」を感じることはあるでしょうか?

「仕事をする上で『博士だから』という見方をされることはありません。ただ、生徒に大学での研究の話をしたり、英語の論文を見せたりすることはあります。『大学に入ってちゃんと勉強すれば、英語でこんな論文を書けるようになるよ』というと、信じられないような顔をしながらも、興味を持ってくれます。

大学での研究には答えはないので、正解は自分で見つけなければなりません。生徒に『答えがあるのは楽。本当に大変なのは、答えがない問題なんだ』と言えるのは、後期課程の経験があるからだと思います。」

松谷さんは前期課程を修了後、1年間企業で働かれたのち、後期課程に入学されています。

「後期課程に行ったことで先生になるのは遅くなりましたが、遅れたと感じたことはありません。前期課程を修了して先生になっていたら、後期課程には戻っていなかったと思います。

博士の強みは『世界一』が取れるということです。論文を出すということは、それまで誰もしていないことで成果を上げたということですから、世界一といえます。

私は前期課程の研究で世界一に届かず、心残りがありました。後期課程に戻り、それを果たすことができました。最近は、海外青年協力隊に行かれていたり、企業で働かれていたり、様々な経歴を持った先生方がいらっしゃいます。生徒たちを見ていると、何かを経験してきた人に教えてもらえるのは、とてもよい刺激になっているようです。」

教員として生徒と接する中で一番大切だと感じるのは、「生徒とのコミュニケーション」とおっしゃいます。

「後期課程は1人で研究して結果が出すことが多いかもしれません。しかし、学会で自分から積極的に話しに行くなど、いろいろな人としゃべるようにしたほうがよいと思います。

尻込みしてしまう人も『もう会うことはないだろう』と思って、話しやすそうな人から話しに行けば大丈夫です。話が弾めばいいし、弾まなければそこで終わればいい。学生だからこそできることでもあるので、ぜひ積極的にしてコミュニケーションを取るようにしてほしいと思います。」

というアドバイスもいただきました。

松谷さんのご趣味は音楽で、バイオリンを8歳からされています。インタビューしたこの日も、翌日の演奏会に備えて京都のご実家に戻られるところで朱雀キャンパスにお越しいただき、お話をうかがいました。このページに掲載している写真はその演奏会での写真です。

松谷さんは老人ホームや小学校で演奏会をされることもあります。こういった活動が研究に役に立たないかといえば、「そうではない」とおっしゃいます。

「いろんな世界を見ることが大切だと思います。たとえば小学生と話していると、普段気がつかない発見もあります。私は『研究だけではなく、日曜日は別のことをしろ』と言われましたがまさにそのとおりで、研究だけだったらうまくいっていなかったと思います。」

最後に立命館の後輩へのメッセージをいただきました。

「前期課程で研究成果が出ていれば、後期課程ではもっとよい結果が出るはずです。博士では世界一が取れます。立命館は支援もしっかりしているので、チャンスがあるなら、ぜひ後期課程にチャレンジしてほしいと思います。

立命館の魅力は先生が素晴らしいことです。学生を大事にしてくれ、学生のことをよく考えてくれていると感じました。

博士のこれからは希望しかないと思います。いろいろな選択肢がありますが、自分が『これだ!!』と思った道を進んでください!

松谷さんは「理系の生徒が増えてほしい」とおっしゃいます。松谷さんに教わった生徒さんたちが、物理や化学を身近に感じて理系に進み、立命館に入学してくれるのがとても楽しみになりました。
  • 2012年10月6日(土) 12:00~13:30 立命館大学 朱雀キャンパスにて
  • 聞き手・文:松村初

プロフィール

2003年4月 立命館大学理工学部応用化学科入学
2009年3月 立命館大学大学院 理工学研究科 創造理工学専攻 博士課程前期課程修了、修士(理学)
2009年4月 ローム株式会社入社
2010年3月 同上 退職
2010年4月 立命館大学大学院 理工学研究科 総合理工学専攻 博士課程後期課程入学
2012年3月 同上 修了、博士(理学)
2012年4月 西宮市 公立高校 教員

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