自己力向上支援プログラム

藤原広美 さん(社会学研究科)

藤原広美 さん

2011年4月に、豊富な社会人経験を経て社会学研究科博士課程後期課程に入学した藤原広美さん。日本のみならずアメリカでのメディア業界での勤務実績を持つ。大学院博士課程前期課程はアメリカの大学院を修了し、勉学・仕事を通算すると在米期間も長い。現在の研究テーマは、「インターネット利用と市民参加――日韓比較」である。

藤原さんは山梨県の高校を卒業し、東京の短大に入学した。短大卒業後、地元の放送局に3年間半勤めた後、アメリカのウェスタンミシガン大学2年生に編入学した。そして、今の指導教員の社会学研究科金山勉教授と知り合った。しかし、大学卒業時はまだ大学院進学の選択肢はなかったため、卒業後に一旦日本に帰国し、関東圏のメディア関連企業に派遣社員として勤めた。

しかし、次第に日本でこのまま勤めることに疑問を感じ、何度かアメリカの企業へ就職活動をした。なしのつぶてであったが、突然、日系のTVプロダクション会社から、「日本の放送局がニューヨークで邦人向けに経済関連の新番組を製作するので、そのスタッフとして藤原さんに来て欲しい。」とオファーが来た。迷うことなく承諾し、再度渡米した。「株価など経済に関することは全く知らず、番組にかかわった9年間は、無我夢中で働きました。」

その後、ニューヨーク大学大学院に進学。メディア・スタディーズを専攻し、市民型メディアについて研究をした。「私の経歴を踏まえたうえで、『社会人としての実績を活かすために、大学院に進学したらどうか』と金山先生に後押しいただいたことが大学院進学のきっかけとなりました。」博士号取得後は、日本で大学教員として働きたいという希望から、博士課程後期課程は日本で学ぶことを選択した。そして、かねてからの知り合いである金山先生を頼り、本学大学院への進学を決めた。

博士課程後期課程に在籍して、1年近くなる。研究は「執念」だと、藤原さんは言う。「仕事として係わってきたテレビ業界では、一つの作品をチームで作り上げる。しかし、研究は一人で何から何までやらないといけない。しんどいです。」このような研究生活のなかでも、関西圏内の大学院生・教員が集う「市民メディア勉強会」にも積極的に参加。勉強会で刺激を受け、自身の研究課題の整理をする機会ともなっている。

初めて「大学院生のための」自己力向上支援プログラムのセミナーに参加したのは、2011年4月に開催された研究資金獲得セミナー「総論」。セミナーの募集案内のメールマガジンを見て、参加を決めた。また、2011年11月に参加したレクチャーフォーラム「検索リテラシーを磨く」では、院生仲間にもなかなか聞くことができない先行研究の検索方法について学んだ。「大学教員に必要なスキルを習得する機会がほとんどありません。博士課程後期課程を修了してからスキルを習得するのでは、就職活動に出遅れるでしょう。大学院生のときから、これらスキル習得に積極的になるべきだと思います。そして、私と同じような思いをもっている人は、ぜひ1度セミナーの参加してみてください。セミナーでは、研究者として必要不可欠な知識やスキルを学ぶことができます。」

社会学研究科の院生研究室を見せていただいた。藤原さんの研究スペースの壁には、セミナーのチラシが掲示されていた。院生研究室では、セミナーのことが時々話題になるそうだ。セミナーの情報は院生の口コミによるところが大きい。藤原さんからこのような話を聞き、大変嬉しく思った。

聞き手・文:櫻井浩子

インタビュー日時

2012年1月10日(火) 13:00〜15:30 衣笠キャンパス大学院課にて

一覧

No. 名前 研究科 課程 分野
1 シン・ヒョンオ 国際関係研究科 博士課程後期課程2回生 人文・社会科学系
2 大林典子 言語教育情報研究科 修士課程1回生 人文・社会科学系
3 森達也 政策科学研究科 博士課程前期課程1回生 人文・社会科学系
4 小西真理子 先端総合学術研究科 一貫制博士課程3回生 人文・社会科学系
5 藤原広美 社会学研究科 博士課程後期課程1回生 人文・社会科学系
6 玉井未知留 政策科学研究科 博士課程後期課程2回生 人文・社会科学系

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