今日、多くの製造業では、製品にLSIを実装することが必要不可欠になっている。しかも、仕様設計の段階からLSIを視野におき、各企業内においてHDL(Hardware Description Language)設計を行うようになりつつある。したがって、LSIデザイン技量を持つ学生は、今後ますます必要とされることが予想される。特に、大手半導体メーカーやCADベンダーは言うに及ばず、パソコン、家電、通信機器、放送機器、制御機器、携帯機器、映像機器、オーディオ、自動車、ロボット、ゲーム、鉄鋼、船舶などの製造メーカーにおいて、このような人材の要望は非常に高いものがある。
また、今後企業の盛衰を握ると言われている知的所有権(IP:Intellectual Property)は、システムとLSIの融合分野において最も激しくなるので、電気電子工学科、電子光情報工学科、情報学科において、情報通信、電子システム、パワーエレクトロニクス、コンピュータ、ネットワークを専攻した学生は、上記各種製造業に加えて、電力、通信、放送、ネットワーク、コンピュータシステム、運輸、セキュリティなどのサービス業においても、LSIデザインの素養を活かし、特に、システム部門の研究・開発において重要視され、華々しい活躍が期待される。 さらに今日、LSI開発やシステム設計を請け負う独立企業が数多く現れるようになりつつあるが、この傾向は、21世紀に入って増々高まって行くことは間違いない。このため、ソフトウェアと並んでLSIデザインは、有能な学生が、企業で研鑚し、高い技術を身に付けた後、ベンチャー企業を設立して独立できる最も有望な分野の1つとなりつつある。 予想される具体的な就職先は、官公庁(通産省、郵政省、科学技術庁、特許庁ほか)、総合電機メーカー、情報通信機器メーカー、家電メーカー、音響機器メーカー、半導体製造業、自動車製造業、機械メーカー、制御機器メーカー、工作機械メーカー、ソフトウェア製造業、ゲームソフト開発、CADソフトベンダーなど広範囲である。

 集積デバイスは21世紀の高度情報社会を支える基幹デバイスであり、ほとんどすべての製品はLSI(大規模集積回路)を搭載するようになっている。製品開発の段階から集積デバイスの基礎知識が必要とされる。ソフトウェア開発には集積回路の基礎知識が必要であり、集積回路の設計には集積プロセスの基礎知識が必要となる。集積プロセス系の修了生は単に材料・デバイスのメーカーだけでなく、集積デバイスを搭載する多くの製造業に必要とされる。本コースの修了生は、総合電機メーカー、情報機器メーカー、通信機器メーカーに加え、大手半導体メーカー、半導体製造装置メーカー、電子材料部品メーカー、光学機器メーカー、感光材料メーカー、印刷などが予想される。 集積プロセス系では原子・分子レベルからデバイスまで基礎から修得するため、ハードウェアを理解した設計部門への展開も可能となり、ほとんどすべての製造分野で必要とされる。主な進路としては、総合電機メーカー、電子部品メーカー、通信機器メーカー、光学機器メーカー、自動車メーカー、半導体製造装置メーカーなどが予想される。

 コンピュータを始めとして、電子デバイスの高性能化やコンパクト化を追求するためには、実装技術や回路基板を含めた実装後の信頼性評価技術が重要な課題である。この分野の研究者・技術者は、LSIに関わる材料学、材料強度学、熱力学、流体力学、LSIの機能評価、センサ工学等の複合・境界領域での知見を有していることが必要とされる。しかし、この分野にはこれまで電気電子系や物理系出身が多く、上述の複合・境界領域の人材に対する産業界のニーズに必ずしも応えられていなかった。実装系の教育はこのような複合・境界領域の研究者・技術者を育成しようとするものである。したがって、卒業後の進路は、LSIの製造に関わるマイクロエレクトロニクス関係のあらゆる分野であるといえる。例えば、コンピュータ、情報機器、移動体通信、計測制御機器、精密電子機器などへの進出が期待できる。また、実装系で得た知識や信頼性評価のアプローチ手法は、直接マイクロエレクトロニクスの製造ではなく応用に深く関わっている航空宇宙産業、自動車産業、医療機器、その他一般製造業にも卒業後の進路を広く求めることができる。

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