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2b. <研究テーマ> リチウムイオン蓄電池劣化診断技術

 

1.背景と目的

 リチウムイオン蓄電池は他の蓄電池と比べて劣化が少ないことが特徴ですが、他と比べて高価であることや、今後大普及することを考えると保守管理の観点からも低劣化・長寿命化が求められます.リチウムイオン蓄電池の構造と主要な劣化現象は、下図に示すように複数の要因が考えられますが、それぞれについて、法則性を見出し、現状態と残寿命を正確に把握することが重要となります.

リチウムイオン蓄電池の構造と主要な劣化現象

 

2.特徴と成果

  忘却整数付き逐次最小二乗法に工夫を加え、リチウムイオン蓄電池の劣化診断のための常時状態把握の新技術を開発しました. これは、特別にテストパターンを与えなくても使用状態を観測することで、常に劣化状態を把握できる方法です.低コストなマイコンで実装が可能であり、低電力なプログラムで実装できます.詳細は電子情報通信学会和文論文誌Bの2016年7月号に掲載されています.また、これとは別に、簡単なテストパターンを与えて、短時間で劣化状態を診断する技術も開発します.この方法は、たとえば無停電装置のように通常は非使用(保存)状態に置かれる蓄電池の劣化診断に有効です.

忘却整数付き逐次最小二乗法

 

3.今後の展開

  蓄電池の劣化診断は産業からの要望が高く、その実現は急務です.しかし、劣化現象は非常に時間がかかるので、特性把握のための実験が困難であるという課題があります.いかに有効な仮説を立て、検証をすすめるかが重要であるとともに、蓄電池自体がセンサーを常備し、大量の実験データがインターネット上に蓄積される方式(スマートセンサ)の実現がキーを握ります.