ナノインプリント技術

  「微細加工技術」(ウェハ上に細かなパターンを形成すること)のひとつである“ナノインプリント技術”についての研究です。従来の“ナノインプリント技術”では、「硬いモールド」を用いており、プレス時に加熱が必要でした。
  これに対して、この研究では、世界で初めて「柔らかいモールド」を用いたパターン転写に成功し、室温におけるナノインプリントを実現しました。

  まず、この研究で用いたポリエステル製の「柔らかいモールド」と、転写に成功したフォトレジストパターンの写真を示します。


        モールド(ポリエステル)             転写後のフォトレジストパターン


  インプリント技術では、次の図のように、基板上に形成したフォトレジストにモールドをプレスします。この例では、フォトレジストとしてOFPR-800を用い、基板としては、表面に熱酸化膜を形成したSi基板を用いています。

  今回のポイントは、プレス後にフォトレジストの現像液を用いて、所望のパターンが得られるまでのフォトレジストを除去したことです。このとき、凹部と平坦部でフォトレジストの現像レートが異なることに着目したことが、技術上の大きな飛躍につながりました。



  現像時間に応じて、フォトレジストパターンが変化していることがわかると思います。つまり、現像時間を制御することで、所望のパターンのフォトレジストを得ることができます。

  以上のように、ナノインプリント技術において従来不可能であった、「柔らかいモールド」のりようと「室温プロセス」に世界で初めて成功しました。この技術により、微細加工における工程数削減や、低コスト化が期待されます。