- 研究概要
- 「「建築文化」の創造的継承をめざして」
日本建築史、日本近代建築史、都市形成史に関する幅広い研究を行っています。建築学はあらゆる学問領域の中でも最も古くから存在するものの一つですから、私たちの身の回りにある建物は、じつは非常に長い建築的営為の蓄積の上にあるわけです。私たちはそこにある建築文化を消失させてしまうことなく、正しく理解し、継承していくことが求められます。建築史の研究は、建築文化に対する理解の幅を広げ、また深めるための学問であり、さらにはこれからの建築にも指針を与えうる学問です。また、歴史的な建築物は、過去の建築文化を後世に伝え、これからの時代の伝統創造の源泉となる貴重な遺産ですから、それらを現実の社会で「保存」していくことは重要な課題です。建築史研究室では、さまざまな歴史的建築の保存・修理・改修工事にも積極的に関わっています。
- 研究室紹介
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日本の建築史・都市史に関する調査・研究活動を行っています。学部生・大学院生合同の毎週のゼミでは、学部生・院生を問わず意見交換や議論が活発に行われています。ゼミの内容は、建築史の基礎的文献の講読、各自のテーマに即した実地調査・文献的調査の報告会、研究論文の進捗状況報告などです。また、近代和風建築や茶室など歴史的建築の実測調査、飛騨高山などの町並み保存調査を行うためにゼミ合宿をしたり、歴史的名建築の見学会や伝統的行事の体験旅行を開催したりもしています。
- 研究テーマ
- 日本の歴史上の建築と都市に関する研究(寺院建築史、住宅建築史、建築家研究、都市形成史など幅広い研究)
- 日本近代の文化財保存の歴史に関する研究(文化財建造物の修理工事の理念・手法の研究など)
- 日本建築史における様式概念に関する研究(昭和初期における「唐様(禅宗様)」概念の変容に関する研究など)
- 歴史的建築の「復元」に関する研究(登呂遺跡住居や薬師寺金堂など歴史的建築を「新築(復元)」するための理念・手法)
- 歴史的町並みに関する研究(飛騨高山の近世町家の実測調査・文献調査や近江の宿場町のフィールド調査など)

法隆寺金堂

法隆寺五重塔

飛騨高山の町並み

五島美術館古経楼

畠山記念館沙那庵
- メッセージ
- 「『建築』について主体的に考えること」
建築史の研究は、建築領域内の諸分野から歴史学や社会学などの周辺の学問領域まで、とても幅広い知識が必要とされますが、その核心には「建築」に対する(研究者自身の)主体的な捉え方があります。もちろん本を読むことも重要ですが、たくさんの建築を実際に見に行って、そこでの空間体験や美的体験を通して自分なりに「何か」を感じ、設計者が何を意図してその「建築」を設計したのかについて考えてみるとよいと思います。そして、それについて研究室の仲間と議論してみてください。そうすると一つの建築について多種多様な「解釈」があるということに気づくはずです。その解釈のどれもが間違いではなく「正しい」のですが、それがどれだけ多くの人に共有(共感)してもらえるかについては違いがあります。研究室とは、自分の意見についてほかの人々にプレゼンを行い、それを共有してもらうための力を身につける場であり、毎回のゼミや研究室行事を通して、主体的に行動し、オリジナルな思考をできる人材を育てる場であると考えています。