- 研究概要
- 「コンピュータの中で建築をどのように表現するか」
コンピュータの中で建築をどのように表現するかと聞いてもピンと来ないかと思います。が、例えば皆さんはAutoCADで製図する際には、線を描いて建築を表しています。手での製図も同様に線で建築を表しています。一方でSketchUpでは面や箱で壁や柱を描いて建築を表しています。三次元モデリングの過程でオブジェクトをグループにすることは、図形に建築を構成する要素としての区切りを与えていると捉えることができます。(少し難しいですが)コンポーネントは同じ性質の部品であることを表していて、コンポーネントそのものを変更すると同じコンポーネントからなるオブジェクトが全て変更されます。このように建築をコンピュータのなかで表すことを考えてみると、線、面や箱といった図形、あるいは部品、様々な表し方がありうることがわかります。建築の三次元モデル(ないし図面)としての表し方と、その可用性には密接な関係があり、近年では、BIM(Building Information Modeling)という情報を持った部品の集合として建築を表し、その“リッチな”三次元モデルを、ライフサイクルを通して活用しよういう試行もなされています。
こういった背景のもと、本研究室では、建築におけるコンピュータの積極的な活用を考え、特に、コンピュータの中での建築の表現手法について研究を行っています。建築構法あるいは教育といった視点からは、建築構法の知識表現や伝統木造建築のデジタルアーカイブ化に関する研究、生産の視点からは三次元モデルを使った施工支援技術、コンピュータを使ったデザインや造形の視点からは、コンピューテーショナルデザインや三次元プリンタによるプロトタイピング、など様々なテーマを挙げることができます。
- 研究室紹介
2014年4月にできたばかりの新しい研究室です。ひとまず前半のゼミでは、三次元CADでのモデリングやプログラム言語によるパラメトリックなデザインなどを講習のようなかたちで学んでいます。あわせて興味のあるテーマについてのレビューなども行っています。これらは研究を進めるにあたっての基礎となります。後半からは各自の研究テーマをそれぞれ進めていきます。各自の研究テーマとしては、前半の講習やレビューからある程度の方向性は自然と決まるかと思いますが、参考として加戸が現在研究中のテーマ(やこれまでに取り組んだテーマ)は【研究テーマ】にあげておきます。リストの上の方は技術的なキーワード、下の方は具体的な目的といった整理になっています。
- 研究テーマ
- コンピューテーショナルデザイン
- 拡張現実感(複合現実感、AR/MR)の利用
- 建築におけるコンピュータビジョンの応用
- 三次元プリンタによるプロトタイピング
- 情報技術を利用したビジュアライゼーション手法
- 三次元CADの使いこなし、BIM(Building Information Modeling)
- 建築構法の知識表現に関する研究
- 伝統木造建築のデジタルアーカイブ化研究
- 三次元モデル等を利用した新しい教材