- 研究概要
- 「地盤のセンシングと防災・維持管理・情報化施工への応用」
私たちの暮らす家や建物、社会インフラはすべて大地(地盤)に支えられています。地盤は安定していることが当たり前と思いがちですが、地域性や不均質性があり、場所によっては様々な安全阻害要因が存在しています。一方で、目には見えない地下の構造や特性を把握することは簡単なことではなく、地盤情報の欠如に起因する災害や事故、構造物損傷が後を絶ちません。これまでは、構造物をつくるための地盤調査技術が発展してきましたが、これからは、地盤調査技術の高度化に加え、変化する状態を監視したり、将来を予測できるような地盤センシング・診断システムが求められるようになってきます。本研究室では、情報通信技術(ICT)やセンシング技術等を活用した新しい地盤調査技術を開発するとともに、それを防災や維持管理、情報化施工に活かすための研究を行っています。
- 研究室紹介
- 「地盤工学から地盤システム工学へ」
最近、「システム」と名のつくモノやコトを多く目にします。私たちの所属する都市システム工学科もそのひとつです。システムという言葉には、複数の要素が相互に影響しあいながら、全体として機能する仕組みや体系という意味があります。環境や防災、エネルギー問題などをはじめ、細分化した個別の要素技術だけでは解決できないような問題は顕在しており、システム思考によるイノベーションが求められています。
もともと土木構造物を安全に設計するために生まれた「土質力学・土質工学(Soil Mechanics)」は、土木のみならず、建築、農業、地質など、大地(地盤)にかかわる様々な専門分野を巻き込んで「地盤工学(Geotechnical Engineering)」へと拡大・発展してきました。本研究室では、この土質力学・地盤工学をベースに、さらに情報通信やロボティクス、センサ分野などの異分野の研究者と手を結んで大きなテーマにチャレンジし、問題を解決するための「仕組み」を考え、機能するように仕掛ける「地盤システム工学(Geosystems Engineering)」を追求します。
- 研究テーマ
- 簡易な地盤調査ツールを利用した斜面の危険度診断技術
- 地域住民を土砂災害から守るための危険斜面の監視技術
- UAV等のICT技術を活用した土工構造物の施工・点検・維持管理手法
- 建設機械やフィールドロボットの自動化・効率化に貢献するテラメカニクス研究
- 月・惑星の土質評価と探査ミッションへの貢献、月・惑星地盤調査装置の開発
- メッセージ
- 「知識と学ぶ力」
大学生が修得すべき「学力」とは、社会人としての教養と職業人となるための専門知識だけではありません。修得した知識を頭の中で体系化・構造化した上で、本当に理解しているのかどうかを反芻し、不足している知識やスキルを求めて自ら行動する力、すなわち「学ぶ力」を身につけることが重要です。社会がダイナミックに変化する中で、「考える力」や「解決する力」、「創造する力」などの重要性が指摘されていますが、このような応用力を醸成するためにも、「学ぶ力」を養うことが極めて重要になってくると思います。卒業論文、修士論文の研究は、それまでに養った「知識」と「学ぶ力」を大いに発揮し、また飛躍的に向上させる良い機会です。皆さんが勉学・研究に夢中になれるような研究室づくりに努めたいと思います。良い研究成果は、そこから生まれてくると信じています。