- 研究概要
- 「構造ヘルスモニタリング・信頼性解析・維持管理計画策定」
当研究室では建設プロジェクトマネジメントの維持管理に資する構造物の健全性をリアルタイムに監視する技術(Structural Health Monitoring: SHM)に関する研究を行っています。
モニタリングとは、あるシステムの状態を把握するための一連の監視活動を意味しますが、その定義には単なる「状態の把握」だけでなく、「システムの時間的変化を知る」という目的も含まれています。これらの目的を達成するためには、システムの状態とモニタリングされた物理量との相関関係を確立することが最も重要です。
当研究室では、診断 対象施設の健全性を把握するための点検・調査・診断の一連の行為を自動化し、効率化・省力化を図るSHMシステムの開発を目指しています。また、上記以外にも、確率論に基つ?くライフラインや道路橋ネットワークの信頼性解析、あるいはリスクを考慮した維持管理 計画策定に関する研究を行います。
- 研究室紹介
- 「建設プロジェクトマネジメント研究室」
当研究室では、予防保全的な維持管理システムの実現を目指して、ICT(情報通信技術)やソフトコンピューティング等、様々な分野の技術を取り入れ、SHMシステム・信頼性解析に関する研究を行います。
卒業研究を進めるに当たって、まずは関連研究の課題分析と卒業研究を実施する上で必要となる構造力学・振動論・確率統計・ICT等の基礎の習得(個別に課題を与えます)を行います。その後、各自テーマに応じて、静的試験・振動試験・数値実験を通じて研究を進めます。
- 研究テーマ
- 振動評価に基づく構造ヘルスモニタリングシステムの開発
*常時微動評価に基づく損傷位置の同定(構造物への入力が不明)
*配管系流路制御バルブの錆び付き固着の検知
- 画像評価に基づく構造ヘルスモニタリングシステムの開発
*鋼板のき裂同定
*画像相関法による振動計測とモード形状の曲線構造と損傷の関係性の把握
- データ同化技術を用いた構造同定と信頼性解析
*粒子フィルタを用いた構造パラメタの同定と信頼性評価
- 同時破壊確率を考慮したライフラインの信頼性解析
*進化計算を用いた同時破壊確率を考慮したライフラインネットワークの信頼性解析

流路制御バルブの流水振動試験

錆び付き固着が発生したバルブ

車両走行橋梁振動実験の動画計測画面
- メッセージ
- 「SHM構築の課題」
構造健全性をリアルタイムに監視するSHMシステムは維持管理・安全性確保の観点からも極めて重要な概念でありますが、まだまだ多くの課題が残されています(例えば、測定される物理量と健全性の相関関係、SHMシステムの電源確保)。また、社会インフラの維持管理を考える上で、点検・モニタリング結果をどのように反映させるのか、あるいは地震リスクを考慮すること等、まだまだ取り組むべき課題は尽きません。これらの問題・課題を皆さんとともに考えていきたいと思います。