都市における既存空間の有効活用と都市再生に関する研究


<土木学会関西支部・共同研究グループ>

 下記の写真は,ある通りの歩道の写真です.以前は道路の中央を路面電車が走っていましたが,電車の地下化で歩道を広げることができました.電柱は元々以前の歩道の端に立っていたものと思われますが,歩道を広げたために,歩道のど真ん中に電柱が居座る形になったようです.歩道には,下水のマンホールや通信ケーブル用のボックスの蓋が見られます.

鉄道,道路,電力,ガス,通信,交通,上下水道をはじめ,都市部においては数多く社会基盤の整備が進められてきました.従来,これらの整備は,一部の共同溝を除き,用途毎に個別に進められてきたため,都市の中には多種多様な構造物が混在して構築されることになりました.下記の写真は,その典型とも言えるかもしれません.

 このような現在の都市の状況を背景に,土木学会関西支部の中に共同研究グループを立ち上げました.ここでは,既存の社会基盤設備を都市における既存空間と考え,これらを種々の用途に共同利用することにより,都市再生の流れを促進することの可能性に関する調査を行うことを目的としています.メンバーとして,道路,鉄道,通信,電力,ガス,下水の各事業者からの参加を得て,今年から調査活動を始めました.この調査・研究では,地下空間,高架等に着目し,各施設別の空間の利用状況と構造に関する調査,ならびに共同利用に関する意識調査を行い,都市における既存空間の共同利用を促進することによる都市再生の可能性について議論を行うことを目指し,その成果をシンポジウム等で公開する予定をしています.