物理法則の客観性について

 
 真理は、普遍であるとはよく言われる言葉です。ここでは、真理とは物理法則に限定しましょう。物理法則は普遍である。このことは、自明のことのように思えます。ニュートンの3法則は、日本でもインドでもヨーロッパでも正しい。世界に遍く正しいだけでなく、宇宙的にも正しい。OK。ではこの法則に至った、乃至、この法則を詳しく論じたニュートンの「自然哲学の数学的原理」(略してプリンキピア)は、普遍的だろうか?断じて「ノン」である。円周率、π=3.1416...は普遍的である。しかしこの円周率を世界に先駆けて計算した関孝和の導出法(それは和算と呼ばれている)は、普遍的だろうか。やはり断じて「ノン」である。そこでは、ニュートンや関孝和の個性だけでなく、アングロサクソンや、日本人の伝統文化を色濃く伝承しているのである。

 独創性とは、畢竟極めて個性的なものであり、個性的であるがゆえに独創的なのだと思います。個性的といえども、或いは個性的なるが故に自分の生まれ育った伝統、風土のしがらみをうけているのかもしれない。これと対極にあるのが権威主義であり、今も、わが国に(滑稽としか言いようがないのだけれど)深く根付いています。若い諸君にそのことに目を覚まして欲しい。そこに生きることが如何に安穏であろうとも、或いは安穏であるが故に。
2005年2月27日 福山 武志