研究内容

 私達の主たる目標は”重力”です。重力場こそ現代物理学に残された未踏の巨峰で、若い皆さんの挑戦を待っています。私達はこの巨峰に様々なルートから登頂をめざしています。一緒に挑戦しませんか?
 我々の研究の特色は、理論物理屋として、固有の物理観から自然現象の森羅万象に迫りたい(理想ですが)ということです。したがって、扱う対象は多岐にわたっていますが、根は一つなんです。

素粒子論
 重力以外の素粒子の相互作用は、標準理論として基本的には確立されているが、Higgs場やニュートリノの質量等、重大な課題を抱えています。最近のニュートリノ質量の発見は、標準理論を越える理論への道が開かれたことを示しています。すでに、前に道はある。歩むしかないではないか。
 我々は、標準理論を越える理論(GUT)として、”minimal SO(10)模型”を提唱しています。これが次世代の標準理論になりうるか現在検証中です。

観測宇宙論
 観測機器の発展と共に、宇宙の様々なスケールでの観測データが今後飛躍的に増えると思われています。その事態を先取りする形での理論の整備が急がれています。具体的には、強い重力がかかわる重力レンズ現象や、コンパクト星、銀河核にお ける高エネルギー天体現象を通して宇宙の全体像に迫りたいと考えています。particle cosmologyが、具体的な成果を現すでしょう。

量子宇宙論
 重力の量子論は素粒子物理の残された重要な課題の一つです。その検証は量子宇宙論やブラックホールの量子論で行なわれます。量子宇宙論から観測宇宙論へのブリッジをつけることが当研究室の課題です。また、それは素粒子の大統一理論(GUT)に対する示唆を与えるでしょう。

ソリトンの数理
 重力理論は古典論に(量子論以上に)豊富な内容と挑戦課題を持っています。ソリトンの数理により重力の新しい厳密解を求 めること、またそれらと他の場の理論との相互関係を調べることが目的です。ソリトンは衝突しても壊れないパルス波であ り、非線形偏微分方程式で記述されています。ソリトンの数理とはどのような非線形偏微分方程式がソリトン解を持つかを追求することです。ソリトン解を求める手法の開発および新しいソリトン方程式の発見などが研究テーマの1つです。