教員紹介
FACULTY MEMBERS
子ども社会専攻
中西 仁 教授
NAKANISHI HITOSHI
研究テーマ
①史料批判、質的な調査の手法を用いた社会科授業実践の分析
②歴史民俗学的アプローチによる都市祭礼及び京都の祭礼の研究
②歴史民俗学的アプローチによる都市祭礼及び京都の祭礼の研究
おすすめ書籍
柳田国男『遠野物語』新潮文庫版 2016年
宮本常一『忘れられた日本人』岩波文庫版 1984年
近代日本の社会、歴史を民衆の側から眺めてみてください。『遠野物語』は岩手県遠野地方に伝わる伝説を集めた本です。津波で亡くなった妻の幽霊と浜で出会った男が、懐かしさと愛しさを妻へ伝えると、妻から結婚前から好きだったけど結ばれなかった別の男とあの世で幸せに暮らしていること告げられる話が寂寥感、切なさにあふれていて興趣が深い。口語訳も出ていますが、原文で読むとよりリアルです。『忘れられた日本人』は宮本常一の聞き書きをもとした民衆のライフヒストリーを集めています。なかでも「土佐源氏」という話がとても面白い。主人公は光源氏と真逆の「乞食」の老人ですが、内容はまさしく「源氏物語」の近代版です。
宮本常一『忘れられた日本人』岩波文庫版 1984年
学生時代の思い出
80年代のごく一般的な大学生、つまりサークル活動、部活動中心の学生生活でした。サークル活動では夏休みに子どもたちと一緒にキャンプをするという活動をしていました。一回生の夏に1000人くらいの子どもたちと出会ったことが後に教師を目指すきっかけとなったような気がします。部活動では古武道という戦国時代の格闘技を毎日稽古していました。おかげでシックスパッドの腹筋を手に入れましたが、その後の人生で格闘技は全く役に立ちませんでした。大学では民俗学が学びたいと思って入学したのですが、民俗学の教授は退職されていました。とりあえず宗教史のゼミに入りました。先生が研究熱心な方であり、またゼミ生が非常に少なかったので、ゼミでは結構、勉強しなければならない羽目に陥りました。「吉田神道の成立事情の一考察」というのが卒業論文のタイトルです。
現在の学問分野に決めた理由
大学を卒業してから18年間中学校の社会科教師でした。被差別部落を含む公立中学校と教育大学の附属中学校に勤務しました。一校目では部落差別とは何か、二校目では社会科授業の改善をどう進めるかが主たる問題意識でした。これが教職課程での教育研究に繋がっています。50歳を過ぎるころから大学時代に果たせなかった民俗学を学びたいという思いが高まり、京都の祭礼を研究するようになりました。フィールドワーク、インタビュー、史料調査によって、これまであまり注目されてこなかった明治大正期の京都における被差別部落の人びとや都市下層の人びとと祭礼との関わりを、少しは明らかにできたと思っています。