教員紹介

FACULTY MEMBERS

子ども社会専攻

柏木 智子 教授
KASHIWAGI TOMOKO

専攻
子ども社会専攻
専門分野
教育学、教育経営学、地域教育学
研究者学術情報データベース

研究テーマ

子どもの貧困、外国ルーツの子ども、子ども食堂、学習支援活動、探究学習、ケアする学校・授業づくり、学校とICT活用、学校との連携によるコミュニティづくり

おすすめ書籍

ジグムント・バウマン『コミュニティ』筑摩書房、2017年。

これは、人々の無関心があたたかな社会づくりにとって最大の問題となることを示した著書です。特にエリートが、異なる人々、たとえば困難を抱える人々とのコミュニケーションや対話の場を設けずに自己実現を図る中で、寛容を無関心と結び付け、社会経済的条件による人々の違いを多様性として解釈し、それに対応せずに放置する問題について述べたものです。つまり、十分にご飯を食べられない、病院に行けない、友達と遊べないといったあってはならない違いを、みんないろいろでいいからという多様性を尊重するふりをして見過ごす問題です。困難を抱える人々を助けようとしない社会のあり方は、そうした人々から生きる希望を奪うと同時に、すべての人々の不信感を募らせ、幸せの少ない状況を作り出します。他者に関心をもち、少しでも手を差し伸べることが人間としていかに大切なのかを示してくれます。

学生時代の思い出

さまざまなところに旅に出たことです。欧米・アジアをはじめとして20ヵ国くらいを周ったと思います。諸外国の多様な文化に出会い、日本では当たり前だと思っていたことが、海外に行くと全く当たり前ではないことに気づくこと自体がとてもおもしろかったです。また、お金がなくなった、乗るはずだった飛行機に間に合わなかったというような困りごとに遭遇したときに、いろいろな方に親切にしていただき、こうやって助けてもらえるんだなと感じたこともとてもいい思い出です。これは大学院でですが、ケニアにも数か月滞在しました。水・ガス・電気のない中でしたが、現地の元気いっぱいな子どもたちと過ごし、あたたかな思いをたくさんいただく中で、文明とは何かというのを考えさせられました。また、ナイロビ滞在時にはちょうど出入りしていた建物の前でテロが発生し、一日違えば、私は大けがをしていただろうなと思ったことも貴重な経験でした。

現在の学問分野に決めた理由

小学生のころから、なぜ学校はこんなシステムなんだろうかと漠然と感じていたからです。もちろん、そういう言葉で把握していたわけではないですが、なぜ学校ってこんなんなの?という疑問を多く持っていたという状況です。中学生では、とても仲の良い友達たちが、学校の中でうまくやれずに、やんちゃな子というイメージで周縁に押しやられていくことがとても嫌でした。そのため、中学生のころは、全生徒向けに作文を読む大会で、学校はなぜすべての子どもが居心地のいい場所にならないのか、教員はなぜそこに力を注がないのか、一方でそうした学校でも学校にどういう意味があるのかというのを発表した覚えがあります。ただ、その後、理系分野に興味をもったり、報道記者をしたくて勉強をしたり、企業への就職活動をしたりと、この問題意識を絶えずもっていたわけではありません。しかしながら、振り返ると、結局その当時の問題意識のままで研究を続けている状態です。
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