教員紹介

FACULTY MEMBERS

子ども社会専攻

景井 充 教授
KAGEI MITSURU

専攻
子ども社会専攻
専門分野
自我論、社会学理論
研究者学術情報データベース

研究テーマ

①フランス社会学を誕生させた問題意識と理論構成の解明
②日本的近代社会の特質を炭鉱の歴史に探る研究
③条件不利地域の社会経済的サステナビリティを実現するソーシャルデザインの探求

おすすめ書籍

為末大・柳川範之著、『Unlearn(アンラーン)人生100年時代の新しい「学び」』、日経BP、2022をお奨めします。いま「VUCAの時代」と言われます。Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を並べた造語です。不安定で変化の激しい社会的状況を表現しています。学校では「唯一の正解」を教わるわけですが、世の中では「正解」が目まぐるしく変わっていきます。そうした変化の激しい予測不可能な状況の中で、変化と成長を続け自己実現を果たしていくためには、常に創造的に成長を続けることのできる「アタマ」や「スキル」を持つことが必要です。そのために、「Unlearn(アンラーン)」の発想と技術を大学生活の間に身に着けておくことは、とても有意義です。

為末氏の『限界の正体 自分の見えない檻から抜け出す方法』SBクリエイティブ、2016、も有益ですし、最近{Unlearn(アンラーン)}に関わる書籍が増えてきていますから、他のものも読んでみるといいでしょう。

学生時代の思い出

学生時代の記憶の中で大きなウェイトを占めているのは、ゼミとアルバイトです。ゼミは毎週4時間程度の時間を使うヘビーなもので、学生はたった4人。最初から個人研究報告でした。ピーター・バーガーというアメリカの社会学者の著作『Social Construction of Reality』(邦訳『現実の社会的構成』)を精読することに取り組みましたが、主要な社会学理論を統合すると謳うこの本を通じて、社会学の学説や理論の醍醐味を味わわせてもらい、フランス社会学の祖エミール・デュルケムの研究に進んでいきました。アルバイトは小さな塾の講師で、10年10か月の間受験勉強のお供をしました。そこで出会った生徒たちからは、とてつもなく多くのことを学ばせてもらいました。長年続けている双方向型授業の発想と技法は塾での教育経験の中から生まれたものです。それを含め、今の仕事ができているとすれば、それはさまざまなことを教えてくれた生徒たちのお陰でして、本当に深く感謝しています。

現在の学問分野に決めた理由

人にとってそもそも「現実」とはなんだろうか?という、なにやら哲学的な問いを持って、学部2年生の頃に精神分析学の勉強を始めました。あれこれ模索しているなかで英国対象関係論という学派にたどり着いて勉強しているとき、タイトルに惹かれて読んだ石川実他著『日常異世界の虚と実 アイロニーの社会学』、有斐閣、1983という本の中、「われわれは、「共同性」と「内在性」と「客体性」の産社が重複するところで、客観性ないし現実性を把握している」というほとんど呪文のような一文に精神分析学を超えるものを感じて社会学に転じ、上に紹介したピーター・バーガーの社会学理論を勉強し始めました。これが私の専門分野を決めました。以来、理論研究に並行して、日本の近代化の過程の中で起きたさまざまな社会問題にも触れながら、社会的現実とはなにか?、その生成・変化・消失のプロセスは?、どう把握するのか?、といった一連の問題を具体的なレベルで問題化する仕事をしてきたように思います。
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