スポーツドキュメンタリーの鑑賞:スポーツ社会専攻企画

Posted on 2017.07.20

京都は暑い夏を迎えています。この時期、産業社会学部は
定期試験を前に賑わいを増し、1回生は初めての試験を控
えて緊張した面持ちをみせています。今回は、こうした
1回生に向けておこなったスポーツ社会専攻の企画をご紹
介します。
スポーツ社会専攻では、スポーツを、時代や社会・人々の
人生との関わりから理解し、問題を解決するというミッシ
ョンのもと、さまざまなプログラムを提供しています。そ
の一つとして、例年、基礎演習4クラスでおこなっている
のが、スポーツドキュメンタリーの鑑賞会です。
今年は、5月25日(木)に以学館1号ホールで、NHK
スペシャル『カラーでよみがえる東京:不死鳥都市の
100年』を鑑賞しました。この作品は、世界の巨大都市
「東京・TOKYO」に関する過去の記録映像をカラー化し、
東京および日本の100年の歴史を描いたものです。日本
は、2020年にオリンピック・パラリンピックを控え、
過去3度のオリンピック大会招致に成功しており、その舞
台はすべて東京です。日本におけるオリンピックの意味と
は、この都市や日本をめぐる歴史社会的な背景にひきつけ
なければ理解できません。1940年大会が関東大震災か
らの復興を目指しつつも、日中戦争の勃発や日本の軍事化
などの理由で返上され、1964年大会は戦後の敗戦から
高度経済成長を経て、再び国際社会に復帰する象徴となっ
たように、映像からはオリンピックやスポーツが時代や国
内外の情勢にいかに翻弄されてきたかが見えてきます。そ
れは、現在の私たちに、スポーツを時代や社会と切り離し
て捉えることの危うさを教えてくれているように思います。
学生からも、「第二次世界大戦中、学徒出陣壮行会が行わ
れた場所で、その20年後に東京オリンピックの開会式が行
われたということを、今回のドキュメンタリー映像を見て
初めて知りました。同じ場所で、同じ行進でも、その意味
はまったく違う」、「映像では関東大震災や戦争からの復
興についても取り上げられていた。そのなかで東京オリン
ピックの招致が与える影響は経済的にも国民の心情面にし
ても大きなものだったとわかった。2020年の東京オリンピ
ックでもただ開催するのではなく、東日本大地震や熊本地
震の復興の架け橋になってほしい」などの声が寄せられま
した。こうした意見を聞くと、学生たちにとって今回の企
画が、過去から現在・未来を問うていくことの大切さを学
ぶ機会となったと考えられ、本専攻で学びを積み重ねるう
えで有意義なものとなりました。



文責:スポーツ社会専攻 松島 剛史 准教授 

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