コラム

不器用ですが、何か?

 皆さんの中にもいらっしゃるかもしれませんが、臨機応変に物事に対応したり、新しいことを学ぶのはあまり得意ではありません。器用、不器用の2択で考えると、間違いなく不器用な人間です。特に機械に弱く、新しいメカを使いこなすのに時間がかかります。でも戸惑いながら、触っているうちに、時間をかければなんとかなるものもあります。
 たとえば、最近よく導入されているスーパーの自動レジ。人件費を節約するためか、増えてきていますね。最初は、え、どこにお札入れるの、どこに硬貨入れるの、と固まりました。入れてまた固まっていたら、画面に文字が。画面に出ている合計金額を確認して、精算ボタンを押さないと一連の作業が終わらないことに気づき、それをこなして終了。1回目は時間がかかったけれど、回数を重ねると人並みに精算を終えられるようになりました。
 もっと時間がかかったのが、図書館の自動貸し出し、返却機。タッチパネルで、一見、わかりやすく簡単そうなのですが、貸出、返却の画面を押してもなかなか機械が反応してくれません。押し方が甘いのだろうか?ともう一度ギューッと押してみるものの反応なし(当たり前ですが)。なぜだろうか、私の指が乾燥しすぎているから認識されないのか、はたまた冷たいからか、いやそんなことはないよなと思いながら、何度か押すうちに反応してくれるというパターンが、かれこれ2年ほど続いていました。たまに相性が悪い機械がある、これもそうなのかなぁとあきらめかけたころに、!。発見が訪れました。それは全くの偶然からでした。
 いつものようにダメ元で画面を押したのですが、ぼ~っと考え事をしながらでしたので、文字からはずれた枠の端っこの方に手が触れていたようです。そうしたら、なんと1度で返却処理ができたではありませんか!一瞬、信じられず、画面の前でちょっとフリーズ。試しに次の画面に出てきた閉めるキーも枠の端っこの方を触ってみると、今度は反応せず。あれっ違うのか…と思いながら、もう一度試してみると無事画面が閉じられました。できた!とその日は何か大発見をしたようなハッピーな気分に。いやまてよ、まだ1回だけだから、たまたまかも。次回もできるか試してみなければと自分に言い聞かせながら、帰宅しました。そして、後日、2回目、できました。そして3回目も。どうやら、この機械を操作するコツを私はやっと学んだようです。
 不器用には、不器用ならではの醍醐味があります。器用な人は無意識にこなしてしまうようなことにも、凡庸な達成感を味わうことができます。実は指が乾燥しているからと考えたことは、自分が思うほど突拍子もないことではなかったようです。冬場は乾燥によって指先の水分量が減り、電気を通す力が弱くなるから、タッチパネルの反応が鈍くなることがあるとか。なるほど。タッチパネルの仕組みなど、今まで考えたこともありませんでした。まわり道したからこそ、気づくことや見えてくるものもあるものですね。

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