集積システム研究室の主な研究テーマ

「集積システム研究室」では、計算機をはじめとする 情報機器や情報システムのハードウェア、特に集積回路上に構成される システムについて、具体的な応用を視野に入れた「ものづくり」を指向して 研究をしていきます。

柔軟なハードウェア (再構成可能アーキテクチャ)

ハードウェアは通常、機能が固定されており、例えば人工衛星に搭載した 集積回路の場合、打ち上げ後に故障した場合や、機能の追加・変更が必要に なった場合でも、修理や交換を行うことはほとんど不可能です。 当研究室では、回路構成を変更できる仕組みを盛り込むことで故障回路の 切り離しや、遠隔操作による新しい機能の追加が可能となる 再構成可能アーキテクチャを研究しています。

これまでに取り組んできた具体的なテーマ例

  1. 人工衛星向け再構成可能アーキテクチャと設計ツール
  2. 故障回路の切り離しが可能なHot Swap機構を持った再構成可能アーキテクチャ
  3. カスタムLSI向け細粒度・粗粒度混合型再構成可能アーキテクチャ

上:Hot Swap機構を持った再構成可能アーキテクチャの試作チップの顕微鏡写真
左:人工衛星向け再構成可能アーキテクチャのための自動配線ツール

超低消費電力システム

携帯電話やタブレット端末、ゲーム機に代表される携帯情報機器には バッテリーが内蔵されており、長時間駆動のためには消費電力を極限まで 低減する必要があります。太陽電池などで電力を自給自足する小型センサーでは、 更なる低消費電力化が不可欠です。当研究室では、太陽電池などによる 電源供給をも想定した回路やシステム構成の低消費電力化技術について研究しています。

これまでに取り組んできた具体的なテーマ例

  1. 低消費電力な浮動小数点除算器の回路方式
  2. 太陽電池を搭載した自給自足集積回路

集積回路上に実現した超小型太陽電池
5万ルクス(直射日光相当)の光を照射すると1μW程度の電力が得られます。

デジタルデータの恒久保存

情報のデジタル化が進み、膨大な量の書籍、放送、映画などの文化遺産、公文書、 自然観測データなどを長期間に渡って保存し、利活用できるようにすることが 必要になってきています。しかし、ハードディスクや光学ディスク(DVDなど)といった 記憶媒体の寿命はせいぜい数10年です。当研究室では、完全に密封された 集積回路上のマスクROMによって千年以上の寿命をもつデジタル記憶メディアの 実現を目指しています。

これまで取り組んできた具体的なテーマ例

  1. 高密度・低消費電力なマスクROMの設計
  2. シリコンウエハ全面に敷き詰めたマスクROMのアクセス回路方式
  3. 密閉された集積回路のための非接触電源供給方式および非接触通信方式