生物の持つナノスケール機能性表面の力学的特性評価


     当研究室では,様々な生き物の表面微細構造の接着力や摩擦力,撥水特性評価などを行っています.
     例えば,アメンボの体表やセミの翅表面,甲虫の脚裏,更に海洋生物であるホヤの表面には微小スケールの構造が存在し,この撥水機能や接着・摩擦力測定などを行っています.
     様々な生物が微小構造を表面に持っていることがあり,個の微小構造が「どのように生存戦略や進化に影響を与えているのか?」,「我々,人間の世界に工業技術として利用することはできないか?」等日々考えることは非常にスリリングです.
     これらの疑問に対して我々は,専門であるロボティクス技術を駆使して,専用の測定装置の開発も行っています.なぜなら,アメンボのような昆虫やホヤのような海洋生物の摩擦力や接着力を測定する装置は市販されていないからです.
     生き物が好きで,なおかつもの作りも好きな人は是非一緒に研究してみましょう.

     例えば,ホヤは非常に面白い生物です.先ず一目見た時点で手足も無く殆ど動かないのに,昆虫等よりよっぽど私たち脊椎動物のグループに近いです.また,後生動物(日常的に言う「動物」)の中で唯一,植物と同様にセルロースを作り出すことができます.
     セルロースはホヤの表面を覆う「被嚢(ひのう)」を構成する主成分となりますが,一部のホヤはこの被嚢表面にナノメートルスケールの微小構造を持ちます.この微小構造は,ボツボツとした点字ブロックの様な形状をしており,汚損物質や寄生生物の付着を抑制していると考えられていますが,詳細なことはまだわかっていません.
     そこで,当研究室ではホヤの被嚢に対して「力測定」の視点からアプローチをかけています.具体的には,ナノニュートンレベルの接着力を測ったり,摩擦力測定を行っています.またそのために必要な力測定システムの開発も行っています.
     ホヤの微小構造の機能を紐解くことで,生物の進化に関する知見を得たり,セルフクリーニング材料の開発に役立つ可能性があります.

    ※ホヤの研究は琉球大学の広瀬裕一先生と共同で行っております.ホヤの写真も広瀬先生ご提供です.





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