アモルファス合金薄帯多層複合材の確率疲労特性に関する研究
●まずアモルファスとは・・・?
アモルファスとは、「非晶質」などと訳され、一般的な鉄鋼材料では原子が格子状に綺麗に整列しているのに対して、原子がばらばらで乱れた状態で存在する固体を表しています。
●一般の鉄鋼材料とどう違うのか?
アモルファス合金は一般的な鉄鋼材料に比べて機械的特性が非常に優れています。引張強さが一般的な鉄鋼材料の約400〜1000MPaに対して、アモルファス合金では2000MPa以上と倍以上です。すなわち、同じ強度を確保するのにアモルファス合金であれば半分の板厚で済むという訳です。
●では何故一般に使われないのか?
アモルファス合金には製造上乗り越えることが非常に難しい問題があります。原子がばらばらの状態の固体を製造する為には、液体の金属を超急冷する必要があります。その為、分厚い材料を作ろうとすると表面は急冷できても内部を急冷することができません。したがって、約数十μmという髪の毛の太さ程度の薄い材料しか作ることができないのです・・・。
●ではどうするのか?
薄ければ重ねて厚くすればいい。ということで我が酒井研ではアモルファスの薄膜を接着剤を用いて複合材にして、その機械的特性、主に疲労特性を研究しています。一枚ではペラペラでも重ねれば非常にしっかりした材料になります。近い将来この複合材が機械部品として使われる日が来る・・・かもしれません。