学術・学芸系学生イベントについての

若干のメモ

  個々のイベントへの若干の感想はそれぞれのイベントの項にメモしているのですが、全体的な事項についてメモを残しておく場所がないので、ここで書いておきます。
 

☆参加者の組織化に、音楽系と表現系では意識の差があるのかな。(2002.04.01.)

  昨年度約一年間、学生のイベントに出かけましたが、クラブが主体的に参加者を組織しようとする姿勢が、クラブによって大きく異なっているという感想をもちました。この姿勢の相違は具体的には様々な場面で見られますが、一つの共通した指標として、入場者から住所・氏名を聞いて次回案内を送る、ことを行っているか否か、ということが挙げられます。現時点で記憶はあまり定かではありませんが、音楽系と表現系で異なっているように思います。上のような情報提供を求められ案内を送ってもらったのは、表現系では、映画部、写真部、写真研究会、書道部、新演劇研究会・劇団月光斜/Team BKC、劇団立命芸術劇場、劇団西一風、陶芸部、美術研究部であり、そのようなものがなかったのがモダンジャズバレエ部でした。逆に音楽系では、 クラシックギター、マンドリンクラブ、メディックス、メンネルコール、邦楽部 、ピアノ研究会、clefではそのようなものがなく、唯一そのような活動をしているのは交響楽団でした。

  芸術表現は、伝える相手がいて初めて成立するのであって、演者だけでは表現にはなりません。その意味で、参加者のことを考えずにいるのは、単なる自己満足にすぎません。音楽系団体にそのような姿勢が強いのではないかと思われてしまうのです。この間、学生部として学生団体が目標をもって生き生きと活動するように援助していますが、生き生きと、とはまだまだ活動できていない団体もあります。上のサークル名を見ていると、どうもこの活動姿勢の差異と一致しているような気がします。その意味で、参加者組織化への姿勢は(もっと単純化すると、入場者に住所・氏名を聞くか否かは)、サークルが生き生きと活動できているか否かの指標である、と言えるのではないかと思います。
 

☆「新入生歓迎」と銘打つと参加者が少なくなるのかな。(2002.05.27.)

  そろそろ「新入生歓迎」イベントも終了しつつあります。4月5月の時期は様々な事情で忙しくて、あまりイベントに行けてないのですが、「新入生歓迎」と銘打ったイベントの参加者が少ないな、という感想をもちました。「少ない」という比較対象は、同じサークルによる、昨年度に開催された通常のイベント、です。昨年度には「新入生歓迎」イベントにほとんど出かけていず、それとの比較はできませんので、「少ない」のが「新入生歓迎」イベントに共通するものなのか、今年度だけの特徴なのかはわかりません。

  「少ない」例をいくつか挙げてみます。展示系イベントだと、一参加者には「多い」「少ない」の判断はつきませんので、パフォーマンス系を挙げます。
  まず、お芝居。演劇系公認三団体の中で最初に開催されたのが、4月19(金)・20(土)劇団立命芸術劇場 「こどもの一生」。昨年度は三団体の中では相対的に参加者が少なかったのですが、それにしても当日は学生会館小ホールで一列20人程度の座席に数人、という入場者でした(内容的には私は昨年度のお芝居よりもすばらしいと思ったにもかかわらずです)。次が5月9(木)・10(金)・11(土)の 劇団月光斜「Trash Box」。ご存知のように、月光斜はもっとも多くの観客動員数を誇り、昨年度末の公演では800人を動員しているなど、いつも学生会館小ホールが超満員です。ところが、上のイベントは月光斜にしては少なく、私は前の方に座ったのですがそれでも各列に複数の空席がありましたから、後部座席ならばもっと空席がみられたはずです。最後が、 5月15(水)・16(木)・17(金)の劇団西一風「白鯨 改作版」。 会場が以学館2号ホールで、かつ昨年度のように着席場所を限定するなどの制限をしていなかったこともあるのでしょうが、空席が多くみられました。
  次に以学館2号ホールを会場にしたイベントです。まずClef。昨年のインドアのイベントは、夏の教会もクリスマスコンサートも超満員でした(夏には私は当初は入場を断られたぐらいです)。そこで、4月26(金)にも満員になるものと思って早めに会場に出かけたのですが、実際にはほとんど入場者がいませんでした。これよりも少なかったのが、4月23(火)・24(水) 落語研究会「立命寄席」と5月17(金) モダンジャズパレエ部「新入生歓迎公演」でした。落語研究会は、開始の最初は数人しか入場していませんでした。モジャバは様々なイベントで会場を沸かし、昨年度の自主公演でもエンゼルホールを超満員にしたのですが、なんと20人程度しか入っておらず、部員よりも少なかったのではないかと思いました。

  このような事態に立ち至っている原因にはいろいろなものが考えられるし、あるのでしょう。ただ、私にはその一つとして、「新入生歓迎」というネーミングがあるのではないかと思っています。「新入生歓迎」と銘打つと、まず上回生は自らは公演の対象外だと感じるでしょうし、当の新入生にとっても、該当クラブへの入部希望者を対象とした入部説明会と同視して捉えてしまうのではないでしょうか。「新入生歓迎」と銘打つのではなく、春のイベントとして打ち出した方がいいのではなかな。
 

☆「学芸活動への期待」  学芸総部リーダーズキャンプ(2003.02.27)で報告してきました。

  報告のレジュメを掲載しておきます。

学芸総部リーダーズキャンプ
「学芸活動への期待」
学生部副部長・法学部教授 佐藤 敬二

【はじめに】
 当初の依頼は、「学芸活動に対する評価と今後の期待」であった。しかし、大学は課外自主活動に対する評価機関ではないし、統一的評価基準で臨むことが学芸サークルの発展にとって有意義であるわけでもない。したがって、言えるとするとせいぜい、市民として権利侵害をせず(大学の自治侵害をしないことも含め)、学生が主体となって生き生きと活動する、といったレベルに留まる。活動評価は、あくまでサークルが自主的に目標を設定し、それへの到達状況によるべきであろう。そこでここでは、各サークルが目標設定するにあたっての参考となることを目的として、私個人の、学芸総部所属サークルの過去二年間の活動に対する感想を述べることに止めたい。

【自己紹介】
 3才〜中学生:ピアノ、中学生〜高校生:将棋、高校生:小説、
大学4年間:学生自治会(学術系サークル)、5回生〜大学院:美術
 その他に少し経験があるだけなら、書、映画、お芝居。伝統芸能はまったく経験なし
 現在:学生のイベントに。感想は http://www.ritsumei.ac.jp/~satokei/ に記録中
 

言いたいこと:「学生文化」を作ってほしい

【趣旨】
学芸諸分野には、トッププロを頂点とした、技量のピラミッドがあり、学生団体もその階段を上る努力を行うことが大切であることは当然。しかし他方で(あるいは、同時に)、学生だからこそできる表現を探求することが必要。表現は、常に革新することで伝統となる。したがって、学生はこの課題を果たすことでのみ自らの役割が果たされる。学生部は支援。「新世紀における『立命館文化』の創造に向けて」、で方針化

【その内容】
 分野毎なので、ここでは省略

【その方法】
@学生の観客との共同作業
 観客(学生)からの刺激
表現系の創造は観客との共同作業の側面もある(もちろん、主なのは自らの創造)
 →学内で、学生に対し、日常的な表現活動 西側広場企画
  観客の組織化 とりわけ音楽系団体

A学内諸団体との共同作業
 他分野からの刺激
  立命館大学は総合大学、芸術系の専門機関にない利点
 →共同企画

B学外・国外団体・OBとの共同作業
 国際展開が最も遅れている領域
  海外公演 e.g.メンネル
  WPを使った国際交流 学芸系団体の場合には、映画部以外全ての団体がWPをもっている。ただし、部内連絡にしか使っていない。

C現代的展開
 創作の基盤
 →共通課題での創造