ポリシリコンナノワイヤーピエゾ |
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◆ 最先端半導体プロセス技術を応用することによりMEMSの分野においてマイクロオーダからナノオーダへの微細化が進んでおり、ナノオーダの半導体の機能や特性を応用した新規なMEMSの開発が期待されている。このような背景の中で、本研究ではポリシリコンナノワイヤーを製作し、機械量センサ用ピエゾ抵抗素子として十分に機能することを確かめるとともに微細化がピエゾ抵抗効果に及ぼす影響を検討した。
◆ 製作したp型ポリシリコンピエゾ抵抗素子の断面構造をFig.1に、寸法をTable1に示す。ポリシリコンの結晶粒径は約150nm、不純物濃度は5×1019 cm-3である。基板にレジスト(SAL601)を塗布し、EB直接描画によってパターニングを行い、RIEによってポリシリコンをドライエッチングした。電極には真空蒸着のアルミニウムを用いた。幅が結晶粒と同程度の断面100×100nm2のポリシリコンナノワイヤーピエゾ抵抗素子を製作した(Fig.2)。
◆ ピエゾ抵抗係数はピエゾ抵抗素子を形成したSi基板をダイシングによって片持ちばり状に切り出して、一端に荷重を加えたときの抵抗値の変化から算出した。応力に対して平行な方向(πl )と直角な方向(πt )のピエゾ抵抗係数を求めた(Fig.3)。ピエゾ抵抗素子の断面の減少とともにピエゾ抵抗係数πl が若干増加する傾向が見られる。これに対して、πt は不変でほとんど0であった。
◆ ナノワイヤーピエゾ抵抗素子は通常のピエゾ抵抗素子と同程度以上のピエゾ抵抗係数を有し、機械量センサの検出素子として十分に機能することが確認できた。今後はピエゾ抵抗係数の温度特性を測定し、更なる微細化を行う予定である。
Fig.1 ピエゾ抵抗素子の断面構造
Table 1 ピエゾ抵抗素子の寸法
Fig.2 100 nm×100 nm×6μmのポリシリコンピエゾ抵抗係数の関係
Fig.3 ポリシリコンピエゾ抵抗素子の断面積とピエゾ抵抗素子のSEM写真