ポリシリコンの等方性ピエゾ抵抗効果と
せん断応力用マイクロゲージの開発

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_マイクロ力学量センサの検出素子に適合するせん断応力ゲージの開発を目的とし、等方性ポリシリコンのホール型(4端子型)ピエゾ抵抗素子の基本特性を求めた。等方性ポリシリコンのピエゾ抵抗係数のうち独立な数は2であり、電気抵抗は垂直応力のみにより変化し、横方向電圧はせん断応力のみにより変化することを導出した(Fig.1)。通常のマイクロプロセスを用いてシリコン基板上に様々な配置のp型ポリシリコンのホール型ピエゾ抵抗素子を製作した(Fig.2)。ホール型ピエゾ抵抗素子を形成したシリコン基板を微小な片持ちばり状に切り出した試験片を用いて、素子に応力を作用させた。配置(A)と(C)は電気抵抗が垂直応力のみにより変化することを確かめるために、一方、配置(B)と(C)は横方向電圧がせん断応力のみにより変化することを確かめるために用いた(Fig.3)Fig.4に示すように、配置(B)ではせん断応力により横方向電圧が変化するが、配置(C)では垂直応力により横方向電圧が変化しない。この実験結果は、ポリシリコンのホール型ピエゾ抵抗素子の横方向電圧がせん断応力のみにより変化する解析結果を支持している。

 

Fig.1 等方性ポリシリコンのホール型ピエゾ抵抗素子

 

Fig.2 シリコン基板上に製作した等方性ポリシリコンのホール型ピエゾ抵抗素子

 

Fig.3 等方性ポリシリコンのホール型ピエゾ抵抗素子の配置

 

Fig.4 等方性ポリシリコンのホール型ピエゾ抵抗素子の横方向電圧
___のせん断応力に対する変化