円運動型マイクロジャイロスコープ

角速度の検出は、ビデオカメラの手ぶれ補償等、様々なものに要望されている。そこで小型民生機器に搭載可能な、小型かつ高性能な円運動型マイクロジャイロスコープの研究を行った。

本マイクロジャイロスコープは、X軸あるいはY軸回りの角速度が与えられた場合に発生するコリオリ力をビームの応力変化として検出し、各角速度を測定する。応力変化を利用することで、加振振幅を大きくすればS/Nの相対的低下を伴うことなく、高感度化が期待できる。また、検出素子としてピエゾ抵抗素子を用いた。さらに、円運動させることにより、角速度の2軸検出を可能とした。

本ジャイロスコープの構造は、断面積50 μm×50 μm、有効長1575 μmの4本の折り返されたビームを十字に配置して、ビームの中央に100 μm角、長さ1000 μmのピラーが設けられている。それぞれのビームの最大応力が発生する部位に、ピエゾ抵抗素子が形成されており、電極はチップ周辺に設置されている。また、チップサイズは3 mm×3 mmである。さらに、駆動方法は、異なる2つの固有振動モードを組み合わせ、位相をずらしてビームを共振させることにより、ピラーを旋回円運動させる(Fig.1)

FEM解析に基づき、出力を算出した結果、1 deg/secの角速度印加時の出力は、5 μVであった(Fig.2)。この結果より、1 deg/secの分解能が得られる見通しを得た。また、プロセスは絶縁層形成、ピエゾ抵抗素子形成、配線形成、ビーム形成、ピラー形成に大きく分類される。それぞれについての製作法の検討、最適化を行い、実際に製作した(Fig.3) (Fig.4)。さらに、単純十字型の振動特性を測定した(Fig.5)

 

Fig.1  円運動型マイクロジャイロスコープ

   (折り返し十字型)

 

Fig.2  FEM応力解析結果

 

 

Fig.3  プロセスフロー

 

Fig.4  製作したジャイロスコープ(単純十字型)     

 

Fig.5  振動特性(単純十字型)