バイモルフ型圧電素子を用いたマイクロ バルブの開発

最近、様々な分野で小型化・高性能化が進んでいる。機械システムの分野では、小型化の限界を決める上でも重要なマイクロアクチュエータの開発も重要視されている。このような流れの中、本研究では小型計測器、なかでも空気流量制御を必要とする小型計測システム内部に使用されるマイクロバルブを開発することを目的としている。

現在開発されているマイクロバルブに用いられているアクチュエータには様々なものがある。バイメタル・形状記憶合金を用いたものでは、過熱・冷却によって弁体の開閉を行うため、応答速度が遅い。また、電磁式では構造が大きくなってしまう。これに対し圧電式は、応答が速く、小型化も容易である。そこで現在バイモルフ型圧電アクチュエータを用いたマイクロバルブの設計開発を行っている。

圧電セラミックスは、電界により伸縮する。これを利用したものがバイモルフ型圧電アクチュエータである。分極方向を逆にした二枚の圧電セラミックスを張り合わせ、一方を長手方向に伸ばし、もう一方を縮めることにより屈曲させ、変位や力を得ることが出来る。Fig.1にバイモルフの駆動原理を示す。

設計したバルブの構造をFig.2に示す。バルブに入った流体がオリフィスを通り、弁体とのギャップ部を経てビームの隙間から大気に放出される仕組みになっている。これまでに、実寸の5倍の大きさのマクロモデルを製作し、流量特性を調べた。そのマクロモデルの外観写真をFig.3に、測定結果をFig.4に示す。非圧縮性、非粘性流体の定常流れとしてベルヌーイの式を適用した理論式を用いて計算すると、流量の実験値は理論値の98%となった。

今後は、この結果に基づきマイクロ化を目指す。

 

Fig.1 バイモルフ型圧電アクチュエータの駆動原理

 

Fig.2 マイクロバルブの構造

 

Fig.3 製作したマクロモデル

 

Fig.4 マクロモデルの流量特性