シンクロトロン放射光を用いたPTFEの 三次元マイクロマシニング |
◆ SR光を直接照射することによってPTFE(polytetrafluoroethylene)等のフッ素系ポリマーを高速にドライエッチングすることができる。TIEGA(Teflon included etching galvanicforming)と呼ばれるこの新しい微細加工技術は反応性ガスを必要とせずに構造体を製作することが出来る。PTFEのエッチングレートは真空中で60〜100μm/min、大気圧中で6μm/min と速く、滑らかな加工面を得られることから、自由度の高いステージと組み合わせることで自由曲面を持つような三次元構造体の製作が可能となると考えられる。本研究では、マスクを用いずに構造体を製作するSR光ビーム直接描画(Fig. 1)による三次元マイクロ加工について研究を進めている。
◆ X-Yステージを用いて基礎実験を行った後(Fig. 2)、ロータリーステージ上に設置した厚み1000μmのPTFE試料中に逆円錐形状の構造体の形成を真空中で試みた。ピンホール(直径80μm)を介して取り出したSR光ビームに対し15度傾斜させて取りつけた試料を一定の角速度(20mdeg/sec)で回転させながら照射を行った。形成した構造体をFig. 3 (a)に、その断面図をFig. 3 (b)に示す。PTFE試料表面での円弧直径600μm、深さ1000μmの明瞭な逆円錐形状の形成が出来た。
Fig. 1 SR光ビーム直接描画概念図
Fig. 2 SR光ビーム直接描画による加工例
Fig. 3 逆円錐パターンを持つPTFE構造体: (a)表面図
Fig. 3 逆円錐パターンを持つPTFE構造体: (b)断面図