2.自動車の操作性についてヒューマンインターフェイスの観点から論ぜよ.
3.宇宙のかなたにあるA星は大気の成分や気温などの環境が地球とそっくりであり,そこにすむ高等生物は人類とそっくりであったが,この生物には聴覚機能が無い代わりに嗅覚が異常に発達している点が異なっているとする.この星における使いやすいインターフェイスに関して考察せよ.
1.授業で説明したとおり.全体としてよくできていたが,概念モデルの説明を長々していてもその重要性についてほとんど書いていない解答などは減点した.また正しい内容を書いていたとしても2,3行しか書いていない解答も減点した.講義で説明した3種のヒューマンモデルと勘違いしている解答が数名いた.
2.ヒューマンインターフェイス全体の理解を問う問題.自動車については講義内で,足で最も力を出せる位置(物理的インターフェイス),スピードメータ等のアナログ表示の視認性,円形形状をしたハンドルによるアフォーダンス,機能と1対1対応したスイッチの可視性,ハンドルやウィンカーの対応付け,鍵をつけたままロックするのを防ぐインターロック,オートマチックトランスミッションによる自動化などの例を話した.そのほか,オーディオスイッチの絵文字など関係ある話もした.これらをすべて書くのは無理にしても,この中のひとつや二つ書いただけでは満点は無理.講義で話した以外の内容も含めてせめて4つ程度は書いて欲しい.重要なのは,「可視化」や「対応付け」などのキーワードをきちんと文章に入れることである.授業で言わなかったことでもなんでも自動車の操作性に関するならかまわないが,キーワードがきちんと書かれていないのでは,設問の「ヒューマンインターフェイスの観点から」論じたことにはならない.講義の内容を理解せずにただ予想問題の模範(?)解答を丸暗記してテストに望んだ人にはあまりいい点がつかなかったはず.内容に応じて多少の点はつけたが.
3.これには正答はないので,ヒューマンインターフェイスに関して正しい考え方ができているかどうかを見ている.聴覚がないので聴覚機能をどうやって補うかがポイントである.聴覚は,注意の喚起や言語などの複雑な情報取得,入力に対する簡単なフィードバックに使われていることは講義で説明したとおり.これに対して嗅覚が異常に発達したものが聴覚の代わりになるかどうかを考えると,嗅覚は覚醒水準が低下していても気づくこと,複雑な情報を伝えるには時間がかかること,機密保持性が低いことなどは同じであるが,指向性があること(風によって匂いの伝わる方向は決まる),短い時間なら時間的に保存ができること,逆に瞬時の情報変更はできないこと,時系列情報ではないこと,居るだけで個人識別が可能な点,生物にとっては意図的に匂いで複雑な情報発信はできない点などが異なる.これらの特徴を考えて解答すればよい.例えば目覚し時計のような屋内用の警報には匂いを使うことができるが,風や雨の影響を受けやすいので屋外の警報にはあまり向かないので他の方法がよいとか,交通信号のように瞬時に変更する必要のある情報には匂いは不向きなこと,暗闇等での方向を示すのに匂いが利用可能だとか,言語のような複雑な情報伝達は匂いでは難しいと考えられるので視覚が使われるだろうとか,ノンバーバルインターフェイスのひとつとして無意図情報を取れる可能性があるとか,いろいろ考えられるだろう.火災は匂いで気づくだろうから火災報知器は不要になる,聴覚が無くとも大きな音なら体感できるので使い方によって音も使用可能である,,といった解答があり,すぐれた着眼だと思った.
A:25% B:40% C:21% D:14%
例年よりもあまく採点しすぎたかと思っている.特に総合問題の3番は平均点25点/40点満点ぐらいになった.そのため1番と2番を確実に取れたかどうかが大きく影響した.