イェナ大学において研究活動を行なったドイツの数学者。ラッセル、ヴィトゲンシュタインに影響を与えた。
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世紀の科学革命に伴って生まれた新しい数学(微積分学など)が依拠している極限や無限の概念にかんする理論的反省。カントル(
Georg Cantor, 1845-1918)による集合論の創始。論理主義:数学的対象は、人間の認識から独立に実在する。
フレーゲ、ラッセルら。
直観主義:数学的対象は、人間の認識能力によって構成されたものである。
ブラウアーら。
形式主義:数学的対象は存在せず、数学は単なる記号の操作である。
ヒルベルトら。
⇒普遍にかんする実在論(プラトン主義)・概念論・唯名論に対応。
Cf.
クヮイン「なにがあるのかについて」、飯田隆訳『論理的観点から』勁草書房、所収。数学的証明を厳密に行なうための記号体系を考案し、記号論理学の創始者となった。
『算術の基礎』(
1884)、『算術の基本法則』(1893, 1903)「意味」とはなにか:「ことばによって人間が理解するもの、ことばが表わすもの」といえるが、「理解するもの」「表わすもの」ということ自身の意味が一定ではない。
「明けの明星(
Phosphorus)」「宵の明星(Hesperus)」はある意味でどちらも同じものを表わすが、もう一つの意味では、別の内容を表わすともいえる。フレーゲによれば、
Bedeutungは同じだが、Sinnは異なる。Sinn
は、人間の精神にとらえられた内容。認識価値とも。Bedeutung
は、人間の精神がとらえる内容とは独立した実在するもの。指示対象。Sinn
は世界に向けて人間の精神が放つ矢であり、Bedeutungはその標的。だが、矢を放つ前に標的が見えているわけではなく、矢を放つという行為をつうじて到達できるだけ。実在する具体的なものは、意味のちょうど限界のところにあって、意味にとっては他なるものであり続ける。
『フレーゲ著作集』勁草書房
土屋俊訳「意義と意味について」(
'Über Sinn und Bedeutung'の訳)、坂本百大編『現代哲学基本論文集I』勁草書房、所収。アンソニー・ケニー『フレーゲの哲学』法政大学出版局