第3話【ある寒い雪の日に・・・】

 それは、ちょうど正月の三が日が過ぎた頃の話です。当時、お正月には埼玉に住んでいるいとこが毎年 遊びにきていました。幼稚園に入る前の私は、見慣れぬいとこにもようやく慣れ、毎日楽しく遊んでいま した。
 
 その日は、いつもよりも寒い日でしたが、私は、そんな寒さももろともせず、うきうきしていました。

「はぁー」と吐く息が白いのを見て、わいわい楽しんでいたのでした。

 そうして、そんな寒い中、私は、下の階に降りていきました。
 

 ふと、窓から外を見上げると、どうでしょう。

 私の目の前に飛び込んできたもの。それは、雪の降る景色でした。おそらく生まれて初めて、いや、物 心がついてから初めて見る雪だったのでしょう。私は、まるで空からすばらしい贈り物が降ってきたのか のように、目をきらきら輝かせていました。
 
 すると、ちょうどそこにおばあちゃんがやって来ました。しかし、私はおばあちゃんに、こんな事を言 ってしまったのです。

                 ・・
「大変だよ!!おばあちゃん、空からゴミが降ってきたよぉ!!」
        
                   ・・
 なんと、かわいげのない子供でしょう。初めて見る雪をゴミだなんて、いったいそんな表現をする子供 がどこにいるでしょうか?

 この話は、後にいとこから聞いた話なのですが、ただ、ただ、私は決してロマンティストではないなと 思いました。

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