それは、ちょうど正月の三が日が過ぎた頃の話です。当時、お正月には埼玉に住んでいるいとこが毎年
遊びにきていました。幼稚園に入る前の私は、見慣れぬいとこにもようやく慣れ、毎日楽しく遊んでいま
した。
その日は、いつもよりも寒い日でしたが、私は、そんな寒さももろともせず、うきうきしていました。
「はぁー」と吐く息が白いのを見て、わいわい楽しんでいたのでした。
そうして、そんな寒い中、私は、下の階に降りていきました。
ふと、窓から外を見上げると、どうでしょう。
私の目の前に飛び込んできたもの。それは、雪の降る景色でした。おそらく生まれて初めて、いや、物
心がついてから初めて見る雪だったのでしょう。私は、まるで空からすばらしい贈り物が降ってきたのか
のように、目をきらきら輝かせていました。
すると、ちょうどそこにおばあちゃんがやって来ました。しかし、私はおばあちゃんに、こんな事を言
ってしまったのです。
・・
「大変だよ!!おばあちゃん、空からゴミが降ってきたよぉ!!」
・・
なんと、かわいげのない子供でしょう。初めて見る雪をゴミだなんて、いったいそんな表現をする子供
がどこにいるでしょうか?
この話は、後にいとこから聞いた話なのですが、ただ、ただ、私は決してロマンティストではないなと 思いました。