JASRAC寄附講座 コンテンツ産業論1 立命館大学産業社会学部

6月11日

反畑 誠一 「『韓流ブームとアジア音楽著作権ビジネスの現状と展望

「冬のソナタ」の大ヒット以降、日本では韓流ブームが続いている。韓国スターが続々と来日し、ほとんどのCDショップには韓流コーナーが設けられるようになった。しかし、その裏側では著作権ビジネスをめぐる数多くの問題が横たわっている。 今回の講義では、韓国を中心としたアジアの音楽著作権ビジネスの現状と展望について、音楽評論家の反畑誠一氏に講義をしていただいた。

日本では60年以上にわたり、「仲介業務法」の下で、(社)大日本音楽著作権協会(現在のJASRAC)が著作権の管理・仲介業務を独占的に行っていた。それが2001年10月に廃止され、代わって「著作権等管理事業法」が施行された。講義では仲介業務法と著作権管理事業法を比較し、著作権管理事業への参入が許可制から登録制に変わっていることや、対象物に有線放送などが追加されていることなどを確認した。そして、著作権管理事業法の施行により新規参入した主な企業の中には、韓国の著作権管理事業者として設立された株式会社アジア著作協会(ACA)のなどもあることが説明された。

続いて、アジア諸国における著作権に関する国際条約制度の現状を確認した。ベルヌ条約や万国著作権条約、TRIPS協定などの国際条約について簡潔に説明があり、いくつかの条約を韓国や中国が批准していないことを確認した。
  また、著作権の管理体制として、音楽出版社などに著作権を譲渡して、プロモーションや著作権管理を委託したり、音楽著作権管理事業者に管理を委託している場合が一般的であることが説明された。現在、各国の著作権管理団体は他国の管理団体と相互管理契約を結んで国際的な著作権管理を行っている。しかし、JASRACは中国の音楽著作権管理団体MCSCと相互管理契約を結んでいるが、韓国の管理団体とはまだ契約を結んでいない。反畑氏はこの問題を「もっか直面している大きなテーマ」だと語り、速やかに相互管理契約を結ぶ必要があるとの考えを示した。

最後に今後の課題として、「韓国の著作権管理制度が、技術やビジネス発展の現実に追いついていない」、「韓国の音楽著作権協会(KOMCA)は音楽出版社と作家の著作権譲渡契約を認めていない」ことなどを挙げた。その上で反畑氏は「JASRACとKOMCAは、まず演奏権だけの相互管理契約を推進してはどうか」との提案を行った。

反畑誠一写真

「今日話していることは、文化をどうやって繁栄させていくかということ」

「作品を創出することを保護し、育成する。それが文化繁栄の基本原則。そしてそれは一人一人の問題」

「日本の活路は実演にある」


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