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2013/1/25

No.15「産社で学んだことは落語に通ずる!?」
●2007年卒業:桂 咲之輔(岩宮 祐一)さん

なぜ落語家に?

 産社の皆さんこんにちは。2007年春に卒業した、落語家の桂 咲之輔こと、岩宮祐一です。今日は、落研に所属していたわけでもない、ましてや生の落語すらも見たこと無かった僕が、なぜ落語家になろうと決意したのかというお話をさせて頂きます。

 学生時代はじっとしているのが嫌いで、人前で話すのが好きでした。あいりん地区での野宿者支援ボランティアの活動を生かし、ゼミ大会に参加したり、大講義等で発表すれば単位が貰える講義は必ず発表していましたね。当時まだ高校生だった佐藤謙君(前回の「さんしゃびと」に登場)の家庭教師ボランティアなんかもやっていました。今はあるかどうか分かりませんが。当時は夜間のゼミ形式の授業があり、ある授業で『野菜』をテーマに個人発表の課題があったので、京野菜の無農薬農家の取材に行って、段ボール山盛りの野菜を貰ってきたので、先生やクラスのみんなと、バーベキューをやりました。その甲斐あってか、その授業の評価はA+でした!もちろん、その後はちゃんと畑仕事も手伝って、発表もやりましたよ!こんな経験、産社でしか出来なかったことやと思います。思い返せば本当に楽しい学生生活でした。

「大学でやったことと180度違う世界、迷いはなかったの?」

 ところが、楽しかった学生生活とは裏腹に就職活動は地獄でした。あれだけ好きだったプレゼンも、面接だとちっとも楽しくありません。学生生活の経験をES(エントリーシート)1枚でまとめられるわけがないし、一言でも言えません。また、あいりん地区での活動の話をして面接に落ちた時は、自分が反社会的な人間だと思われたのではないかと考えたりして憂鬱な日々が続きました。そんな時に、「大阪に70年ぶりの寄席が復活」という新聞記事を見つけました。気分転換に行ってみようと落語好きの祖父を誘い、見に行くことにしました。そこで後に師匠となる、桂 春之輔に出会います。実は、僕にとってそれが生まれて初めての落語だったのですが、師匠の落語は、とっても分かりやすく30分笑いっぱなしでした。しかも、ゆったりお話しされるので聞いている内に肩の力が抜けて、寄席を出た頃にはすっかり元気になっていました。「もっと師匠の落語を聞きたい」そこからの僕の就職活動は、ES(エントリーシート)を書くことではなく、寄席に通うことになり、「聞きたい」が「やりたい」に変わっていき、卒業後に弟子入り志願することになります。

 この話をすると10人中10人に、「大学でやったことと180度違う世界、迷いはなかったの?」と聞かれます。この質問に僕はいつもこう答えます。「違うことはありません。むしろその応用です。」先ほどの京野菜のレポートのように取材に行って、畑仕事を手伝う、農家の人に喜んで貰える、単位は取れる、採れたての野菜を皆で食べる。このことと同じなのです。つまり自分が動くことによってお互いが幸せになる。その経験を他の人とシェアすることによって世界が広がる。そしてこの経験を今は落語家として、実践中なのです。

遊びに来てください!

 というわけで、校友の皆さんもまた学生の皆さんも良かったら一度、寄席に遊びに来てください!落語は難しいんじゃないかと思うかもしれませんが、そんなことはありませんよ。歌舞伎や文楽のような難しい日本語はほとんど出てきません。落語を聞いて、少しでも楽しい気持になって頂ければ幸いです。皆さんのお越しを楽しみに待っています!

●桂 咲之輔(かつら さきのすけ)

本名 岩宮 祐一(いわみや ゆういち)
卒業年月日 2007年3月 卒業
出 身 地 兵庫県
現 住 所 大阪府
勤 務 先 公益社団法人 上方落語協会(会員)
ゼ ミ 名 景井充ゼミ
所属サークル
団 体
国境なき学生関西