2017/7/31
校友のみなさま、はじめまして、2011年度卒業・2013年度社会学研究科修了をしました山田大地と申します。
私がさんしゃで過ごした日々は、さまざまなひととの出会いに彩られるものだったなあと思います。
私は京都という土地で学ぶことに素朴なあこがれをもって産業社会学部を選びました。2007年の入学当初こそ地元の滋賀県から通っていましたが、一人暮らしを始めて交友関係が広がり、毎日の講義で出会うスリリングな議論に刺激される日々を送っていました。友達の誘いもあって、産社自治会や産業社会学会でも活動し、当時の事務室の方々のあたたかい応援を受けながら、自主ゼミへの助成制度といった自主的な活動を支援する制度づくりをしたことが懐かしく思い出されます。
ゼミでは、佐々木嬉代三先生のゼミにて社会病理学をまなび、高野悦子著『二十歳の原点』を対象として、青年期のアイデンティティ獲得について考察しました。3回生のときに参加したハンナ・アレントの著作を講読する読書会は、先生や仲間達と卒業後も続いており、今年で7年目を迎えるまでになりました。
その後、大学院に進学し、地方自治体の若者支援政策が抱える構造的課題を対象として考察し、ほんとうに多くの方の力のおかげで修士論文を執筆することができました。大学院で同じく調査をしたメンバーや、分野は異なりながらも修論の内容を話し合った仲間は、修了後のいまでも会って刺激を与えてくれる「同志」と純粋にいえる存在です。
私は現在、京都市北区にあります納豆メーカーである(株)森口加工食品(牛若納豆)にて勤務する傍ら、京都市右京区役所にて右京区民のみなさんのまちづくり活動を、行政ではなく同じ市民の立場で支援する「まちづくりコンシェルジュ」という活動を非常勤でしています。
牛若納豆では、2011年より産業社会学部との連携で開発した「京北・りつまめ納豆」という商品を製造しています。これは、わらつと納豆発祥の地の一つといわれる京都市右京区京北地域にて、納豆という地域に由来する食文化の保存と商品化を連携して行うことで復興をめざすものです。大学院生のときにパッケージデザインをさせていただき、現在の職場で働くきっかけとなったこの商品は、校友会古谷会長ゆかりのイオン様(関西圏)でもお買い求めいただけますので、校友の皆様はぜひ一度ご賞味ください!
こうした右京区京北での実践をきっかけにしてお話をいただいた「まちづくりコンシェルジュ」では、毎週一回金曜日に右京区役所にてまちづくりの相談窓口を設け、地域を良くする活動を始めようとする区民の方と、円滑な活動の進め方について一緒に考えるほか、同じ想いを持った方どうしをつなげるためのハブや困った時の相談窓口のような立場を担っています。ときどきさんしゃの現役の学生さんが活動の相談にきてくれることもあり、とても嬉しく思っています。地域で新しい活動が生まれるお手伝いをすることができる、とてもやりがいのある役割です。
私は、さんしゃの良さは、自身の人生に影響を与える他者との出会いがあることではないか、と思います。そして、私も自身にかつてそうしていただいたように、誰かにとって助けとなる他者となれればと思います。
長くなりましたが、これからの産業社会学部と校友会の発展を心より祈念しています。りつまめ納豆、おいしいのでぜひ食べてみてください!
●山田 大地(やまだ だいち)
卒業年月日 | 2013年3月 前期博士課程修了 |
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出 身 地 | 滋賀県 |
現 住 所 | 京都府 |
勤 務 先 | ㈱森口加工食品 右京区まちづくりコンシェルジュ |
ゼ ミ 名 | 佐々木嬉代三(学部) 景井充(大学院) |
所属サークル 団 体 |
産業社会学部自治会 産業社会学部学会 |
▼「りつまめ納豆」
「りつまめ納豆」は、産業社会学部と右京区のNPO法人フロンティア協会とが包括連携協定を結び、納豆発祥の地である京都市右京区京北地域の活性化に取り組む教学プログラム「京北プロジェクト」の一環です。今、農林業を主要な産業としてきた中山間地である京北地域は、深刻な高齢化と過疎、それに伴う農林業の持続や環境保全の課題に直面しています。その問題を解決すべく、京北地域に古くから伝わる「わらつと納豆」の文化に注目しました。京北地域を「納豆の里」として京北をPRし、まちづくりにもなるオリジナルの納豆をつくろう!と2011年10月「京北・りつまめ納豆」が誕生し、販売を開始しました。(「立命館学園通信」より抜粋)