「日本対人援助学会(準備会)」第9回例会のお知らせ

 第8回例会は、古川秀明さん(開業臨床心理士)の「スクールカウンセラー・臨床心理士の現状と課題」でした。二つのことを話されました。一つは、スクールカウンセラーの労働者としての側面です。一校につき140万円を上限にして予算が組まれていて、年35週で打ち止めとなるという基本的報酬の現状でした。臨床心理士の合格者は毎年1700名と高い水準となっていることと今後の市場の先細り、臨床心理士は資格の維持にポイントが必要なので、学会や研修への参加費が相当な額になることからすれば安い報酬であることなどが具体的な数字をあげて説明されました。また、社会保険労務士の資格もお持ちの古川さんからすると、雇用のあり方をもっと透明にすべきこと(次年度の契約更新の手続きの問題など)なども指摘されました。さらに、仕事の内容としても、鳥インフルエンザが騒がれた地域での子どもたちのアフターケアにスクールカウンセラーが動員されるなどの仕事のミスマッチのこと、親や地域とかかわることの大切さ、教師との信頼関係の必要性なども指摘されました。もちろん、こうした皮肉混じりの指摘は、古川さんが学校でのカウンセリングをこよなく愛しているというところから生まれるものであることもよくわかりました。それは、学校という場において家族療法のフレームを使い、問題が解決されていく事例をたくさんお持ちだということに裏打ちされていました。システムとして問題をみるという点の大切さともいえます。学校という場において成立する相談の可能性を家族療法の視点から最大限に生かして実践されている様子が新鮮でした。今後のスクールカウンセリングの方向性がみえたように思いました。


 2月の例会は、若者問題に焦点をあてます。ユースサービスという新しいコンセプトを英国の事例と京都での具体的な取り組みをもとにお話をいただきます。(財)京都市ユースサービス協会・南青少年活動センターでユースワーカーとして活躍されている岸田祐子さんです。ユースワークやユースサービスということで、ネットワークが拡がりそうです。



場所 キャンパスプラザ京都 6階 第1講習室(立命館大学大学院専用教室)

日時 2月22日(水)午後6時45分から9時15分まで


内容 「ユースサービスとは?−若者支援の現場から−」

話題提供 岸田祐子さん(南青少年活動センター・ユースワーカー)


主催 日本対人援助学会準備会(立命館大学大学院応用人間科学研究科内)



この案内の問い合わせ先 中村 正(応用人間科学研究科)
メールアドレス tadashi @ jca.apc.org (@前後のスペースを削除してください)
電話番号 075-465-8363(立命館大学独立研究科事務室)  *参加は自由です。

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