文化遺産と芸術作品を災害から防御するための若手研究者国際育成プログラム

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派遣者報告

2008年度 海外パートナー機関との共同企画報告


■ 第1回歴史都市防災シミュレーション若手研究者国際ワークショップ

 アジアおよびヨーロッパの歴史都市防災と文化遺産保全に関し、タイ・タマサート大学建築学部にITP派遣中の2名の若手研究者が中心となって企画・準備を進め、タイの大学の若手研究者・院生ならびに関連する機関の研究者、イタリアの大学院生2名も加わり、歴史都市の保全と防災のポスターセッションとともに、多国間の研究者によるグループを構成して、世界遺産アユタヤをケースとしてとりあげ、景観シミュレーションや都市シミュレーション等の歴史都市保全計画支援システムの開発、ゲーミングおよびシミュレーションを用いたまちづくり支援手法に関する研究成果の発表と相互交流を目的とした国際ワークショップを開催した。

開催日2008年7月25日(金)〜2008年8月3日(日)
開催場所タイ・タマサート大学建築学部
参加者43名
若手研究者ITP派遣者2名、タイ タマサート大学建築・計画学部 教員3名、タイ タマサート大学建築・計画学部 学生・院生24名、イタリア サッサリ大学建築学部 教員1名、イタリア サッサリ大学建築学部 院生2名、タイ チュラロンコン大学 教員1名、タイキングモンクット工科大学 教員1名、タイ 芸術省 職員2名、タイ 土木・都市計画局 職員1名、国連国際防災戦略 職員1名、立命館大学 教員1名、立命館大学 学部生・大学院生3名、千葉商科大学教員1名


本ワークショップの開催にあたっては、国際シミュレーション&ゲーミング学会(IASAG)の後援を受け、サッサリ大学のPaola 教授により国際ワークショップの講評をいただいた。立命館大学−タマサート大学−サッサリ大学の3大学による若手国際研究交流会を継続して実施する第一段として、非常に有意義なワークショップとなった。



■ 地域防災力に関する若手研究者国際ワークショップ

 文化遺産や歴史都市の景観の保全のための政策支援を行うための分析方法として、文化遺産と市民との心理的結びつきに着目した手法や、GISを用いた空間的マイクロシミュレーシュン手法などの新たな分析手法に着目し、その有効性を明らかにする。

開催日2009年3月26日(木) 14:00〜17:30
開催場所イギリス・シェフィールド大学
参加者9名


本ワークショップでは、文化遺産・歴史都市の景観保全という研究テーマに適用された事例はほとんど見られずオリジナリティの高い報告として、討論者などから積極的な評価が示された。これらの方法論や視点に関連した研究は、健康科学や犯罪学など地域のリスクに関連する諸分野でも検討が進められつつあることが、他の報告と関連づけた討論者の論点の整理を通して明らかにされ、本ワークショップによる若手研究者の交流の意義が確認された。すなわち、文化遺産や歴史都市の景観の保全という課題は、都市や地域をめぐるリスクとこれに向かい合う視点として提示されてきた多様な論点の網の目の中に位置づけられるものであり、方法論上で関連する研究間の交流を深めていく必要性・有効性が明らかにされた。