文化遺産と芸術作品を災害から防御するための若手研究者国際育成プログラム

ホーム > 派遣者報告 >2010年度共同企画

派遣者報告

2010年度 海外パートナー機関との共同企画報告


■ 第4回歴史都市防災シミュレーション若手研究者国際ワークショップ

 本年度は「THE FUTURE OF THE PAST」と題し、立命館大学を含む国内大学、海外パートナー機関であるタイ・タマサート大学およびイタリア・サッサリ大学の若手研究者を対象に、第4回歴史都市防災シミュレーション若手研究者国際ワークショップを立命館大学・衣笠キャンパスにおいて開催した。本ワークショップは、歴史都市防災研究センターと防災調査研究協定を締結している京都市左京区上高野学区および北区衣笠学区の自主防災会の協力を得て実施し、参加者は歴史都市防災およびゲーミング・シミュレーションの理論に関する講義、上高野学区・衣笠学区における防災および寺社仏閣保全の現状についての実践に関する講義を受けた後、ゲーミング・シミュレーションによる歴史都市防災教育教材の試作を行った。また本年度は、過去のワークショップ参加者がチューターとして参加するなど、これまでの若手研究者育成の努力が目に見えて現れてきたワークショップであった。さらに本ワークショップ参加者である若手研究者による歴史都市防災政策に関する研究成果の発表および意見交換も行った。

開催日2010年8月24日(火)〜31日(火)
開催場所立命館大学・衣笠キャンパス
参加者29名
立命館大学大学院生8名、京都大学大学院生1名、タマサート大学若手研究者および学部生3名、サッサリ大学若手研究者および大学院生6名、立命館大学教員4名、高知大学教員1名、名古屋大学教員1名、タマサート大学教員1名、マヒドン大学教員1名、サッサリ大学教員2名、ARUP研究員[民間コンサルタント]1名

 なお、本ワークショップの開催に当たっては、国際シミュレーション&ゲーミング学会(ISAGA)、日本シミュレーション&ゲーミング学会(JASAG)、タイシミュレーション&ゲーミング学会(ThaiSim)、およびISS ISAGA summer schoolの後援を受けた。

 



■ 若手研究者国際ワークショップ
   「International Exchange モノの移動・イメージの受容・変容」

 昨年度のワークショップ開催に続き、ヨーロッパの日本美術研究の中心のひとつであるロンドン大学SOAS、ならびにセインズベリー日本芸術研究所と共同でワークショップを開催した。本企画は、若手研究者がITP事業による派遣期間中に、現在調査の対象としている地域・機関の研究者と共同でワークショップを実施することで、研究者間のネットワーク構築と調査対象地域・拠点との関係強化をめざすものである。
   ワークショップは二部構成とし、前半は本拠点および発表者による欧州でのデジタルアーカイブ化作業の成果とその活用により得られた知見についての研究発表を、後半は欧州における日本美術コレクションの形成や日本美術の中にあらわれた異国イメージ形成の過程など日欧の文化交流の中から生まれた芸術表象に関する研究発表をおこなった。
 開催地であるSOASの教員・学生をはじめ欧州各地の若手研究者が参加し、それぞれの発表に対し活発な議論が交わされた。これまで日本文化デジタル・ヒューマニティーズ拠点で構築・推進してきたデジタルアーカイブの現状とその利用による研究を現地の研究者に向けて発信し、また、他機関における研究活動についても発表を通じて理解を深めることができ、大変貴重な機会となった。

開催日2010年9月18日(土)13時〜18時
開催場所ロンドン大学SOAS内 ブルネイ・ギャラリーB104/B103
参加者20名
若手研究者ITP派遣者3名、ロンドン大学SOAS教員・大学院生4名、ロンドン大学SOAS・研究員2名、立命館大学教員2名、立命館大学PD研究員1名、立命館大学大学院生1名、立命館大学職員1名、ルーヴェン・カトリック大学大学院生1名、大英博物館職員1名、ハワイ大学教員1名、セインズベリー日本芸術研究所研究員1名、一般参加者2名
共催文部科学省グローバルCOEプログラム「日本文化デジタル・ヒューマニティーズ拠点」

 尚、本ワークショップのプログラムは立命館大学グローバルCOEプログラム「日本文化デジタル・ヒューマニティーズ拠点」のブログサイトで公開している。

 



■ 若手研究者国際ワークショップ「災害と文化遺産保存」

 ITP派遣中の若手研究者が中心となり、イコモス韓国委員会と立命館大学歴史都市防災研究センターが共催するワークショップ「災害と文化遺産保存」を企画し、韓国故宮博物館にて開催した。本ワークショップの目的は、日韓の文化遺産保護の各分野の専門家らが集まり、災害と文化遺産保護に関する現況と課題について議論し、文化遺産保護の新たな方向性に対して検討することであった。ワークショップは2部構成となり、第1部が「災害と文化財建造物の保存」という題名で日韓の文化財保護の政策の変化や災害復旧工事における課題について、第2部が「災害と歴史都市の保存」という題名で日韓における歴史都市の脆弱性や防災計画、安全点検などに関する研究成果と課題についての研究成果の発表が行われた。参加者は政府機関や大学などにて文化遺産保護の実務に携わっている方々で、ディスカッションでは日韓の文化遺産保存における共通課題と差が明らかになった。また、本シンポジウムを通して、日韓両国における文化遺産防災に関する情報交換が進むとともに研究者らの交流が深まった。

開催日12月21日(火)
開催場所韓国故宮博物館
参加者29名
若手研究者ITP派遣者1名、イコモス韓国委員会々員5名、イコモス韓国委員会準会員2名、立命館大学・教員2名、立命館大学・ポスドク研究員1名、韓国・文化財委員1名、韓国・文化財庁・職員6名、韓国・国立文化財研究所・職員1名、韓国・徳寿宮管理事務所・所長1名、韓国・景福宮管理事務所・職員2名、韓国・宗廟管理事務所・職員1名、韓国・漢陽大学校・教授1名、韓国・漢陽大学校・大学院生1名、韓国・龍仁大学校・教授1名、韓国・社団法人シーズ・職員1名、東京文化財研究所・研究員1名、一般参加者1名